浄土真宗でやってはいけないこと9選
各宗教・宗派の決まりや慣習は様々あります。
今回は、浄土真宗でやってはいけないこと9選を紹介していきます。
①線香を立ててはいけない
浄土真宗は、線香を横に寝かせて使用します。
線香の前は常香盤という香炉を使用していたため、その流れで線香を立てないようになりました。
香炉に合わせて線香を折り、2~3本を横に寝かせておくのが作法です。
②般若心経を唱えてはいけない
他の仏教宗派で読まれる「般若心経(はんにゃしんぎょう)」を浄土真宗では唱えたり、読んだりしません。
浄土真宗の考え方は「他力本願」のため、自力で成仏を目指すことが説かれている般若心経は唱えないのです。
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③神を信仰してはいけない
日本では戦前に、各家庭に「神棚」を置くことが政府より強制され、浄土真宗を信仰していてもお仏檀と神棚がある家庭が現在でもあります。
しかし、浄土真宗では神を信仰してはいけないとされています。
神を信仰するということは鬼神信仰(死んだ人間の霊魂が、私たちに幸せや不幸を与える)という考え方を信仰することになるからです。
④喪中のはがきを出してはいけない
浄土真宗には「喪中」「忌中」という考え方が無いため、喪中はがきは出しません。
また、他の宗派などでは避けられている慶事や旅行なども特に問題ないとされています。
ただし、他の宗派の人からすると、一周忌前に年賀状が届くと非常識だと思われる場合もありますので、喪中には派手な活動やお祝い事は行わないのが基本です。
⑤日の善悪を選んではいけない
浄土真宗では、大安や吉日などの日の善し悪しを選ぶことはしません。
仏教では、このようなことで運命が決まるのではなく、自分の行い次第で結果として幸福や不幸が決まると考えられています。
特に浄土真宗では「因果の道理」に外れたことをしてはならないと、具体的に教えられています。
⑥追善供養をしてはいけない
浄土真宗では、亡くなった人は阿弥陀仏の救いによってすぐに成仏する「即身成仏」という考え方があるため、追善供養は行いません。
親鸞聖人は、追善供養のために、1度も念仏を称えたことが無いと言われています。
なので、亡くなった故人に対して「ご冥福を祈ります」の代わりに「哀悼の意を捧げます」などの表現を使うようにしましょう。
⑦仏檀に他宗の仏像や故人の写真は入れてはいけない
浄土真宗は「弥陀一仏」なので他宗の仏像は用いません。
お仏檀はお寺をそのまま小さくしたものであるため、お仏檀に他宗の仏像、御礼、お守りなど神仏に関係ありそうなものを何でも入れていいわけではありません。
故人の写真もお仏檀の外に出して、お仏檀の真上を避け、左右の適当なところに掲げておくのが良いでしょう。
⑧クリスマスを祝ってはいけない
浄土真宗の宗祖である親鸞は「仏教以外の教えに従ってはいけない」と説いているため、キリスト教の行事であるクリスマスはもちろん、その他仏教以外の宗教行事も一切行いません。
⑨お盆の風習は行ってはいけない
浄土真宗では、極楽往生した先祖はいつも見守ってくれているという教えがあるので、お盆だからといって特別に先祖を迎え入れる必要がないと考えられています。
浄土真宗が葬儀でやってはいけないこと
浄土真宗が葬儀でやってはいけないことを3つ紹介します。
香典に「御霊前」と記入しない
浄土真宗では、亡くなった人はすぐに成仏すると考えられているので、香典の表書きに「御霊前」とは記入しません。
「御仏前」や「御香典」と記入するのがマナーとされています。
浄土真宗以外の宗派では、四十九日前の香典の表書きは「御霊前」と記入し、四十九日を過ぎたら「御仏前」と記入するのが一般的です。
位牌を作らない
浄土真宗では、亡くなった人はすぐに成仏する「即身成仏」と考えられているため、位牌は作りません。
一般的には、俗名や法名などを記載する「過去帳」と呼ばれる帳面を仏檀に供えます。
末期の水の儀式は行わない
末期の水の儀式とは、故人が安らかにあの世に旅立ってほしいという祈りを込めて行うもので、故人の口に水を含ませる儀式「末期の水(死に水)」です。
浄土真宗では、死後は穢れのない世界であると考えられているので、末期の水の儀式は行いません。
浄土真宗が喪中でやってはいけないこと
結論、浄土真宗には「喪中」や「忌中」という概念がありません。
そのため、四十九日や一周忌など関係なく、喪中であっても行動が制限されることはないです。普段通り過ごすことが出来ます。
ですが、一般的には喪中は故人への弔いに集中するという意味を持っており、この期間内はおめでたい行事への参加は慎むのが普通です。
他の宗派の人からすると、一周忌前に年賀状が届くと非常識だと思われる場合もありますので注意しましょう。
浄土真宗の喪中の過ごし方
浄土真宗には喪中や忌中という概念が無いので普段通り過ごしても問題ありませんが、他の宗派の人と親交がある場合は注意が必要です。
浄土真宗の喪中の過ごし方について紹介します。
欠礼はがきを出す
親交のある他宗派の人が浄土真宗の宗教観について詳しいとは限りません。
浄土真宗の宗派上問題がないとしても、他宗派の人からは非常識だと思われてしまう可能性があります。
そのため、浄土真宗の教えを守りつつも他宗派の方を配慮して「年賀欠礼はがき」を出すと良いでしょう。12月中に届くように送るのが重要です。
浄土真宗の特徴とは?
浄土真宗の特徴を紹介していきます。
「他力本願」と「即身成仏」
浄土真宗の特徴的な考え方として「他力本願」があります。
「修行で悟りを得るのではなく、阿弥陀如来を信じ念仏を唱えれば、阿弥陀如来の働きによってすべての人が救われる」という考え方です。
そして念仏を唱えれば、亡くなった後に阿弥陀如来がすべての人を救い出し極楽浄土へ迎え入れて下さる「即身成仏」も浄土真宗の特徴です。
浄土真宗の真宗十派
浄土真宗は10の宗派があります。
・浄土真宗本願寺派
・真宗大谷派
・真宗高田派
・真宗仏光寺派
・真宗興正派
・真宗木辺派
・真宗山元派
・真宗出雲路派
・真宗三門派
・真宗誠照寺派
上記の10派が「真宗十派」です。
この中でも勢力が最も大きいのが「浄土真宗本願寺派」と「真宗大谷派」の2つになります。
国内最大の信仰者数
浄土真宗は、国内伝統仏教系では最大の約1600万人の信仰者がいます。
浄土真宗本願寺派は約784万人、真宗大谷派は735万人の信者がいます。
出典:令和3年度版 宗教年鑑 | 文化庁
浄土真宗が多い理由
浄土真宗の信仰者数が多い理由は「わかりやすい教化手段」と考えられています。
・人口の多数を占める庶民を対象とした宗教
・救済手段として「南無阿弥陀仏」と唱える
・阿弥陀仏に頼ると成仏できる「他力本願」
というシンプルな教えが門徒拡大につながったとされています。
よくある質問
浄土真宗で食べてはいけないものは何ですか?
浄土真宗には、「肉を食べてはいけない」といった制限はありません。ただひたすらに、阿弥陀如来を信じることが重要と考えられている宗派です。
浄土真宗ではご飯はどこにお供えしますか?
浄土真宗では、 ご飯は故人ではなくご本尊にお供えするものです。
そのため、ご飯は位牌や過去帳の前ではなく、ご本尊の「阿弥陀如来」もしくは「南無阿弥陀仏の六字名号(ろくじみょうごう)」の前にお供えします。
スペースのある大型仏檀の場合は、ご本尊の両脇にある「脇掛」の前にもご飯をお供えします。
浄土真宗の首にかけるものは何ですか?
浄土真宗における首からかける半袈裟のことを、浄土真宗本願寺派は門徒式章(もんとしきしょう)と呼び、真宗大谷派は略型衣(りゃくかたぎぬ)と呼びます。
まとめ
今回は、浄土真宗でやってはいけないことについて詳しく解説しました。
宗教、宗派の決まりや慣習などは難しいものです。
些細なことでトラブルにならないように今回の記事を参考にしてみてください。
この記事の著者・監修者
株式会社ディライト株式会社ディライトは、葬儀業界とお墓業界の「集客の困った」と「人の困った」を解決する会社です。
この記事の編集者
お墓の口コミ編集部
竹田 勇仁
東京都出身。大学を卒業後葬儀社で勤務。
現場経験を経て、消費者に有益な情報を届けたいという想いから、現在「お墓の口コミ」を運営している。