浄土真宗の香典袋の書き方って?一般的な表書きで大丈夫?西と東でも違う?

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香典袋

この記事はこんな人におすすめ

  • 浄土真宗の香典袋について知りたい

  • 浄土真宗ってなに?

  • 浄土真宗だけのお葬式のマナーはあるの?

近々、浄土真宗のお葬式が控えているが、宗派に合わせた香典袋の書き方など、わからないという方が多いはず。
身近な人に聞こうにも、宗教的な話には誰もが疎いもの。

お葬式に参列するからには安心して臨みたいですよね。
事前に予備知識を入れて、恥じることなく堂々と振る舞いましょう。

お墓の口コミ監修者:株式会社ディライト 代表取締役 高橋亮
著者・監修者
株式会社ディライト 代表取締役
高橋 亮

葬儀の人材派遣と集客支援の最大手、株式会社ディライトの代表取締役。20歳で葬儀の人材派遣スタッフとして働き始め、独立。以降約20年間、葬儀、お墓業界の「人の困った」と「集客の困った」を解消し続けている。

「葬儀業界のインフラ企業」を目指して!AI活用で課題を解決するニッチ市場のオンリーワンとは
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お墓の口コミ編集者:お墓ディレクター2級 竹田勇飛
編集者
お墓ディレクター2級
竹田 勇飛

東京都出身。計400社以上の墓石、葬儀会社と繋がりを持ち、お墓ディレクター2級を有している。消費者に有益な情報を届けたいという想いから、現在「お墓の口コミ」を運営している。

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お香典って聞いたことあるけどなに?

お葬式

お葬式に参列すると耳にする「お香典」というもの。

なんとなく聞いたことはあるけど、ぼんやりとしたイメージしか浮かばないという方が多いはず。

今回は浄土真宗の香典袋をテーマに解説していきます!

お葬式でお供えする贈り物のこと!

お香典とは、お葬式で亡くなった方の「霊」の前にお供えする金銭や物品などの贈り物のこと。
お通夜や告別式といったお葬式のときに、香典袋に入れて各自持参するものです。

仏教はもともとインドから伝来したもの。
インドでは尊い人に会うときに、お香を焚いてお香を捧げるといった習慣がありました。

日本に伝わってからも、はじめはお香や食べ物でのやりとりが主流でした。
それから時代が経ち、お葬式に多額の費用がかかるようになり、現在のような金銭のやりとりになりました。

お葬式を主宰する喪家の急な出費を助け合う、相互扶助といった考え方もあります。

浄土真宗の香典袋について3ステップで解説!

心配する

浄土真宗の香典袋と聞くと、どんなものか想像がつきづらいはず。

ここでは3ステップに分けて解説していきます!

①浄土真宗の香典袋の選び方

香典袋は全国のコンビニエンスストア・スーパーマーケット・文具店・仏具店などで購入が可能。

水引は黒白・双銀・黄白などがあり、地域によっても使うものが異なってきます。
基本的には黒白の水引が一般的です。

どの水引か迷ったときは、年長者などに確認するのがベスト。

金額別!香典袋の選び方

5千円前後を包むときは、水引が印刷されている香典袋。

1万円~3万円を包むときは、印刷のものではなく水引がかかっているものがふさわしいです。

5万円以上を包むときは、双銀の水引がかかった和紙製の香典袋を使いましょう。

②浄土真宗の香典袋の書き方

仏式のお葬式の場合、香典袋の表書きは「御霊前」や「御香典」が一般的ですが、浄土真宗の場合、「御霊前」などはNGです。

浄土真宗では、亡くなられた方はすぐに成仏し仏様になるという考え方があり、霊にはならないため、「御仏前」や「御供」と書きます

「御仏前」の下には自分の名前をフルネームで書きましょう。
このとき、「御仏前」の文字よりも少し小さめに書くとベストです。

夫婦や会社でお香典を出す場合

夫婦でお香典を出すときは、夫の名前を中央に書き、妻の名前を左側に書くのが一般的です。

会社など複数人でお香典を出すとき、3名までは右側から目上の人になるように書きます。
4名以上の場合は、○○会社一同または代表者名などを書き、そのうえで別紙に全員の名前・住所・金額を書きましょう。

中袋の書き方

中袋には表面中央に大字と呼ばれる漢字で、金額を縦書きします。
「金参萬圓也」などと書きましょう。
裏面には住所と氏名を添えてください。

中袋がないタイプの場合は、表書きの裏面に金額・住所・氏名を書きます。

文字は毛筆や筆ペンで書こう

香典袋の表書きの名前は毛筆や筆ペンを使って書きましょう。
このとき、薄墨を使うのがマナーです。

「悲しくて涙で墨が薄まってしまった」様子などを表現しています。

中袋はボールペンや万年筆で書いても問題ありません。

③浄土真宗の香典袋の包み方と渡し方

香典袋をそのまま持参するのはマナー違反です。
必ず袱紗(ふくさ)に包みましょう。

袱紗は慶事用と弔事用があり、弔事用を使いましょう。
袱紗の色は、寒色系のものを選ぶと良いです。
紫色の袱紗は、慶事用としても弔事用としても使えるため便利です。

伝統的な包むタイプと使いやすい挟むタイプのものがありますが、どちらでも大丈夫です。

香典袋の包み方

包むタイプの袱紗の場合、まず袱紗を菱形になるように置きます。
香典袋を中央よりも右側に置いて、右・下・上と角を折り込んでいきましょう。
最後に左の角を折って裏側に袱紗を折ります。

挟むタイプの袱紗の場合は、開きを左側にして、香典袋の表書きが読める向きにして入れましょう。

お香典の渡し方

お葬式に参列したら、まず受付で記帳を済ませます。
その後、お香典を渡すのが一般的です。

お通夜と告別式の両方に参列する場合は、告別式でお香典を渡すのが基本です。

渡し方としては、右手に袱紗を乗せて、左手で香典袋を取り出してから、表書きが読める向きにして両手で渡しましょう。

このときに、「この度はご愁傷様です」などといった、お悔みの挨拶を短めに添えて渡すのがマナーです。

各宗派共通の香典袋の注意点!

香典袋は相手に失礼にならないように配慮するのがマナーです。

お札は新札とボロボロのお札は避けましょう

新札だと亡くなることを予想して、前もって準備していた感じが出るためNGです。
遺族に悪い印象を与えてしまいます。
新札しかなかった場合は、必ず折り目をつけてから香典袋に入れましょう。

ボロボロやシワシワのお札は、遺族に不快感を与えてしまうため、使わないようにしましょう。

お香典を準備したら、再度、表書きや中袋に書き忘れがないか確認しましょう。
お金も入れ忘れていないか、再確認するとベスト。

お香典は郵送もできる?!

お葬式には参列できないが弔意を示したい場合、お香典を郵送することもできます!
ここでは配慮したほうがいいポイントも踏まえて解説します。

お香典は現金書留で送りましょう
現金を香典袋に入れて、表書きなどを書いたものを、現金書留用封筒に入れます。
郵便局の窓口より、お葬式の当日~お葬式の1週間後あたりを目安に届くように送りましょう。

現金書留用封筒にお悔みの手紙も同封すると遺族に丁寧な印象を与えて、亡くなられた方への弔意がより伝わります。
このとき、「拝啓」や「敬具」といった結語は不要です。
また忌み言葉も避けましょう。

亡くなられた方への想いや遺族への気遣い、お葬式に参列できなかったことへのお詫びなどを書くと良いです。

浄土真宗の始まり

浄土真宗とは、浄土宗を開いた法然(ほうねん)の弟子である親鸞聖人(しんらんしょうにん)によって作られたものです。
親鸞聖人の死後、派閥がいくつかに分かれました。
現在では、浄土真宗本願寺派と真宗大谷派の2大派閥が代表的です。

阿弥陀如来を本尊としていて、浄土真宗の教徒は、念仏を唱えれば、すぐに成仏できるとされています。
これにより、死者の冥福を祈る必要がなく、お葬式のやり方も他宗派に比べ、少し異なったものになります。

浄土真宗が教えていること

浄土真宗といえば、他力本願が代表的な教えです。

これは阿弥陀如来が生きとし生けるものを救おうとする慈悲にすべてを委ねることであり、決して他人任せにしたり、成り行きに任せることではありません。

阿弥陀如来の本願力を信じることが他力本願という考えです。

阿弥陀如来の救いを信じる心を持ったときに、極楽浄土に往生して成仏が決まるという考え方が、現生正定聚(げんしょうしょうじょうじゅ)というものです。

信じる心を得ている人は、いずれ仏様になるべき人として生かされていることを教えます。

真宗大谷派の場合は香典袋も注意が必要!

浄土真宗の2大派閥の一つである、真宗大谷派では香典袋の書き方が違うため、注意が必要です!

浄土真宗の一般的な「御仏前」ではなく、「御香資」・「御香儀」・「御香典」と書きます。
理由としては、あくまで御香料として遺族に渡すものと考えられているからです。

お香典と一緒に箱入りのお菓子を持参する場合、「御仏前」・「御供」と真ん中に書き、黒白もしくは黄白の水引をかけましょう。
お菓子は参列者に配られることも多いため、個包装のものだと喜ばれること間違いなしです。

今さら聞けないお葬式のマナー

お葬式は突然決まることが多いため、臨機応変に対応する必要があります。

ここでは今さら他人に聞くことなんてできない!といったお葬式のマナーを解説します。

黒色の服で参列すれば問題ない?

お葬式の服装は、一般的には喪服ですが、平服でも問題はありません。
黒色の地味な服装でしたら大丈夫です。

服装を選ぶときに大切なポイントは、亡くなられた方への哀悼の意を表しているかどうかです。

遺族ではない場合、お通夜も告別式も平服で参列してもOKです。

遺族への気遣いを第一に、自分のお悔みの気持ちをどう表現するかを判断の基準にしましょう。

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浄土真宗だけのお葬式のマナーはある?

浄土真宗のお葬式は、亡くなられた方への供養として行われるものではありません
亡くなられた方は死と同時に阿弥陀如来により、極楽浄土に迎えられているため、成仏を祈る必要がないと考えているからです。

このため、礼拝の対象は亡くなられた方ではなく、阿弥陀如来になり、仏様に感謝する時間になります。

他宗派のお葬式の場合、お清めの塩をまいたりしますが、浄土真宗ではお清めの塩という概念もありません
亡くなられた方は仏様になり、穢れている対象ではないからです。

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浄土真宗の焼香の作法

焼香にも他宗派とは少し異なった作法があります。

ご本尊の前で一礼し、お香を3本の指で摘まむ、ここまでは一般的な作法と同じです。

浄土真宗本願寺派では、お香を額に押していただかないで、そのまま1回だけで香炉にくべます
真宗大谷派では、本願寺派と同様にして、2回香炉にくべます

浄土真宗の禁止表現

浄土真宗のお葬式では、「冥土に旅立つ」や「天に召される」といった表現が禁止されています。

亡くなられた方は死後すぐに、仏様になっていると考えているからです。
また、仏様として再会できるため、告別式という表現も不適切だと考えています。

宗派がわからない!そんなとき、香典袋はどうしたらいい?

不明

参列予定のお葬式の宗派がわからないこともよくあるはず。
そんなとき、どうしたらいいか解説していきます。

基本はこれでいける!一般的な香典袋の書き方

各宗派に共通する一般的な香典袋の書き方は、「御霊前」や「御香典」があります。
水引は黒白や双銀の結び切りの香典袋を使いましょう。

「御霊前」の下に自分のフルネームを薄墨の筆ペンなどで書きます。

「御香典」や「御香料」は、御供物にも使用可能です。
「御霊前」と違い、お通夜・告別式に限らず、四十九日など、いつ使っても大丈夫です。

そもそも「御仏前」って?

浄土真宗で使う「御仏前」は、一般的には四十九日の法要以降に使うものです。
仏教では忌明け(四十九日)までを御霊と考え、忌明け後に仏様になるといった考え方から、四十九日以降の法要に使います。

一周忌、三回忌、七回忌などでは「御仏前」を使いましょう

その他の法事では、「御香料」や「御供物料」などを使います。

四十九日法要に呼ばれたら?香典の相場やマナーを解説!

市販の香典袋も使える!

市販されている香典袋には、「御霊前」と印刷されているものが多くあります。

蓮の花がデザインされた香典袋は、仏式専用になり、こちらも問題なく使用可能です。

宗派がわからないときは…?

先方の宗派がわからないときは、基本は「御霊前」で問題ありません

お葬式の知らせを聞いたときに、合わせて宗派を確認するのがベストです。
それも難しい場合は、お葬式が行われる斎場に尋ねたりしても大丈夫。

香典袋を出先で急遽用意することもありますので、白無地のものや「御霊前」と印刷された香典袋を持っていると便利です。

仮に香典袋の書き方を間違えてしまっても、お香典を受け取る遺族としては嬉しいため、非常識だと思われることはないです。

しかし遺族側で宗派も知っていたうえで間違えてしまうと、よくない場合もありますので注意が必要です。

【番外編その1】キリスト教の香典袋の書き方

キリスト教ではお香典を、「御花料」と呼びます。

カトリックでは「御ミサ料」、プロテスタントでは「忌慰料(きいりょう)」や「献花料」と呼ぶこともあります。

十字架や百合の花がデザインされた香典袋はキリスト教式のもので、全国の文具の専門店などで購入が可能。

キリスト教式の不祝儀袋が用意できないときは、白無地や双銀の水引がかかった香典袋でも大丈夫です。

【番外編その2】神道の香典袋の書き方

神道ではお香典を、「御玉串料(おたまぐしりょう)」と呼びます。
「御榊料」・「御神前」・「幣料」・「御神料」などもあります。

弔事だけでなく、神の霊に供える意味があり、一般の神事にも使います。

神道でお葬式をする場合は、全体の2%程度

神道のお葬式では、玉串奉奠(たまぐしほうてん)と呼ばれる道具を使用し、これは仏式の焼香と似たような意味合いがあります。

香典袋はデザインがないものを使いましょう。
水引は印刷の略式や、黒白・双銀を使うのが一般的です。

神道の法事とは?のし袋の準備やマナーを終活のプロが解説!

浄土真宗の香典袋でよくある質問

お香典

一般的にお香典の金額はいくら入れればいい?

お香典の相場としては、亡くなられた方や遺族との関係性であったり、参列者となる自分の立場や年齢によって変化します

①家族や親族内の場合:1~10万円
②友人や知人の場合:5千円~1万円
③近所の家や職場の場合:3千円~1万円


地域によっても変動があるため、注意が必要です。

浄土真宗の忌日法要の場合、お香典の金額はいくら?

他宗派と変わらず、お葬式と同じくらいの相場の金額で問題ありません

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浄土真宗の新盆法要の場合、お香典の金額はいくら?

浄土真宗の場合、他宗派と違って、亡くなられた方の霊がお盆に帰ってくることはありませんが、仏様への感謝の意味合いで法要があります。

そのときは、1人あたり1万円~3万円が一般的な相場です。

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まとめ

今回は、浄土真宗の香典袋をテーマに解説しました。
他宗派と比べて、価値観が大きく異なり、香典袋の書き方やお葬式での作法など、どれをとっても一味違うものになっていますよね。

近々、浄土真宗のお葬式に参列する場合には、事前準備をしっかりして、安心してお葬式に臨むとよいでしょう。

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