浄土真宗に位牌はいらない?作る際の注意点と過去帳・法名軸の扱い方を解説

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本位牌

この記事は、「浄土真宗において位牌が必要かどうか?作る場合は注意点はなにか?」を詳しく解説しています。

・浄土真宗における往来即成仏の教えと位牌の関係
・位牌を作る場合に注意しなければならないポイント
・法名軸や過去帳の扱い方について


など解説していますので是非ご覧ください。

浄土真宗ではいらないとされることも多い位牌について、同宗派ならではの考えと作り方、処分方法などについて詳しくご紹介します!

お墓の口コミ監修者:株式会社ディライト 代表取締役 高橋亮
著者・監修者
株式会社ディライト 代表取締役
高橋 亮

葬儀の人材派遣と集客支援の最大手、株式会社ディライトの代表取締役。20歳で葬儀の人材派遣スタッフとして働き始め、独立。以降約20年間、葬儀、お墓業界の「人の困った」と「集客の困った」を解消し続けている。

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お墓の口コミ編集者:お墓ディレクター2級 竹田勇飛
編集者
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竹田 勇飛

東京都出身。計400社以上の墓石、葬儀会社と繋がりを持ち、お墓ディレクター2級を有している。消費者に有益な情報を届けたいという想いから、現在「お墓の口コミ」を運営している。

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浄土真宗とは

浄土真宗福正寺の本堂

浄土真宗は、鎌倉時代から800年以上続く、日本の仏教で最大の宗派です。
学校の歴史の授業でも学ぶ有名な宗派ですが、長い歴史の中で多くの分派が生まれたため、戸惑う人もいるかもしれません。

また、浄土真宗の大きな特徴として、阿弥陀仏の救済を信じる「他力本願(たりきほんがん)」の思想があります。
この考え方を理解すると、浄土真宗の教えがより身近に感じられるでしょう。

ここでは、浄土真宗の基本をわかりやすく紹介します。

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親鸞による開祖

浄土真宗は、鎌倉時代初期に親鸞(しんらん)が開いた仏教の宗派です。
師である法然(ほうねん)の教えを受け継ぎ、阿弥陀仏の救済を信じる「他力本願」の教えを広めました。

また、「悪人こそ救われる」という「悪人正義」など、独自の教義を持ち、天台宗や真言宗、禅宗とは異なる考え方が多いのが特徴です。
さらに、僧侶の肉食や結婚を認めるなど、無戒律主義を徹底し、仏教の中でも特に世俗的な宗派とされています。
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数多くの宗派が存在

浄土真宗は、親鸞の死後、門弟によって発展し、庶民の間で広まりました。特に室町時代後期には、一向宗が強大な勢力を持ち、大名をも苦しめるほどでした。
その後、教えの正統性や本拠地を巡る問題から分派し、現在はいくつもの宗派に分かれています。

代表例としては以下のようなものがあります。

本願寺派
日本の宗教全体でも神社の次に多い10,000以上の寺院を従える最大勢力です。京都の西本願寺を本山としています。

大谷派(東本願寺)
江戸時代に本願寺派と別れて成立した、京都の東本願寺を本山とする宗派です。8,800以上の所属寺院が存在する第二勢力となっています。
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真宗高田派
親鸞の孫弟子・顕智(親弟子は真仏)を中心に成立した高田門徒の流れをくむ、三重県津市にある専修寺を本山とする宗派です。葬儀の時に文類偈を読経するなど他の宗派と異なる要素が多いのが特徴です。

真宗佛光寺派
親鸞の孫弟子源海が率いた(親弟子は真言高田派同様真仏)荒木門徒の流れをくむ宗派です。本山は京都の佛光寺にあります。

真宗興正派
明治時代に西本願寺の脇門跡より独立した、京都・興正寺を本拠とする宗派です。


これらの宗派は、それぞれ教義や儀式の細かな違いはありますが、基本的には「他力本願」など親鸞から続く教えを大切にしています。

浄土真宗独自の亡くなったらすぐ仏になる(往生即成仏)教え

浄土真宗の中でも最大の特徴といえるのが、「往生即成仏(おうじょうそくじょうぶつ)」と呼ばれる教えです。
これは、「阿弥陀仏の本願により、亡くなった人はすぐに仏となる」と考えることにあり、人は死後すぐに極楽浄土に往生するとされています。
そのため、亡くなった人の魂がこの世に留まるという考え方は浄土真宗にはありません。
このことは後述する位牌に対する考え方にも大きく関わってくるため、よく覚えておくようにしましょう。

位牌とは

白木位牌

位牌は一般的に、亡くなった方の戒名(法名、法号とも呼びます)や没年月日、俗名、享年(行年)が書かれた木の札のことです。
その役割や歴史、種類などについて簡単に説明します。

位牌の歴史と役割

位牌は、故人の戒名や没年月日を記すだけでなく、魂が宿るものとされています。
仏壇やお寺の位牌壇に安置することで、故人の霊を祀り、供養する大切な役割を果たします。

また、位牌があることで故人やご先祖様の霊が帰り、今を生きる私たちと向き合う場となると考えられています。
そのため、すでにこの世にいない人々へ感謝の気持ちを伝えるために欠かせない存在とされています。

ただ位牌は、もともと仏教の教えではなく、中国の儒教における祖先崇拝から生まれました。
当時は、故人の官位や姓名を木簡に記し、祀る風習があったとされています。

この習慣は鎌倉時代に、儒教の影響を受けた禅宗とともに日本へ伝わり、儀礼の一部として定着しました。
その後、他の宗派にも広がり、江戸時代には庶民の間にも普及し、現在では多くの仏壇に安置されるものとなっています。

仏壇と位牌の関係

前述したように位牌の役割はお盆などに帰ってきた故人の霊を迎えることにあります。
では位牌を配置する仏壇の役割はどのようなものでしょうか。
諸説ありますが、最もよく言われているのは「ご本尊であるお釈迦様をお祀りする小さなお寺としての役割を持つ」というものです。

位牌と仏壇、両方があることで故人やご先祖様が帰ってきた時にご本尊へのお参りができるようになる。
そのような関係から位牌と仏壇は欠かせないと言われています。

位牌の4つの種類

位牌には葬儀の進行に応じて以下2種類のものが用意されています。
白木位牌(しらきいはい)
葬儀の際に用いられる白木でできた位牌です。あくまでも仮の位牌で、四十九日を過ぎたら廃棄する必要があります。また家系や寺院によっては、野位牌(のいはい)と呼ぶ場合もあります。

本位牌(ほんいはい)
四十九日が過ぎたのちに用いる正式の位牌です。仏壇に安置する黒塗りの位牌はこちらを指します。


また祀る人数に応じて、以下2種類のものが存在します。
板位牌
お祀りする人がおひとり様の位牌。表面に漆を塗り金箔などで飾られた高級感のある「塗り位牌」と黒檀や紫黒などの木材を用いる重厚感のある「唐木位牌」の2種類に分かれます。

回出(繰り出し)位牌
複数の位牌をまとめた位牌


この4つの種類についてはしばしば仏具店で購入する際に問われることであるため、覚えておくようにしましょう。

浄土真宗に位牌はいらない

驚く女性

位牌は、故人やご先祖様の霊が帰るために欠かせないものとされ、多くの宗派で用いられています。
しかし、浄土真宗では位牌は不要とされ、作成を拒否されることもあります。
その理由について、以下に説明します。

仏教における位牌の考え方

前述したように位牌は故人の魂が宿るものと考えられ、お盆などに帰ってくるときには仮の家としても用いられるものとなっています。
そして仏壇に祀られているご本尊にお参りするというのも重要な役割であることも説明しました。

つまり、位牌は「ご先祖様や故人は仏ではなく霊としてこの世にとどまっており、時には家に戻ってきて現世の人々と交流したりお参りしたりする」という教えの元、必要とされる仏具といっていいでしょう。

位牌は往生即成仏の教えに背いてしまう

しかし「故人がこの世に止まる」という考えは浄土真宗の教えに背くものとなってしまいます。

浄土真宗について説明した章でお伝えしたように、同宗派には「亡くなった人はすぐに仏となり極楽浄土に導かれる」という「往生即成仏」の思想が存在します。
これは、「故人はもうすでに現世には存在せず、お盆の時期などでも決して戻ってこない」ということを意味します。
すなわち故人の魂が宿る位牌の存在意義がありません。
上記の思想があるゆえに浄土真宗では位牌は不要といわれるのです。

どうしても位牌を作りたい場合におさえるべき4つのポイント

ポイント

浄土真宗では、「亡くなるとすぐに極楽浄土へ行く」という教えから、基本的に位牌を作りません。
しかし、「魂が帰る」という考えや他宗派の影響により、近年では位牌を置きたいと考える人も増えています。
その場合には以下4つのポイントに注意する必要があります。

①お寺に相談する
➁浄土真宗における白木位牌の使い方を理解する
③位牌の選び方に気を付ける
④浄土真宗独特の法名(戒名)の作り方に注意する


それぞれのポイントについては後述します。

①お寺に相談する

浄土真宗は親鸞の死後、いくつかの派閥に分かれ、葬儀や祭事の扱いが異なります。
位牌も宗派によって考え方が異なるため、檀家のお寺の宗派を確認し、必要に応じて相談することが大切です。

真宗高田派では位牌を用いることが可能

浄土真宗でも分派における真宗高田派は、追善供養(故人が無事に成仏できるよう、今を生きる人が冥福を祈るため参拝やお墓参り、法要などを行うこと)を完全には否定していません。
そのため浄土真宗の中で唯一位牌を安置することが認められています。
ただし位牌の位置はご本尊の左右か下段となり、その前には絶対に置かないようにしましょう。

大谷派・本願寺派などの宗派ではお寺に相談する必要あり

本願寺派や大谷派をはじめ、浄土真宗の多くの派では「往生即成仏」の教えに基づき、追善供養を厳格に否定しています。
そのため、本来は位牌を安置する習慣もありません。

しかし、近年では社会の変化を受け位牌を設置したいと考える人が増え、お寺側が許可するケースも出てきました。
ただし、これは宗派の教えとは異なる対応のため、許可なく設置するのは避けるべきです。

トラブルを防ぐためにも、事前に菩提寺に相談し、理解を得た上で進めることが大切です。

➁浄土真宗における白木位牌の使い方を理解する

本来位牌の必要がない浄土真宗においては仮のものである白木位牌の扱いも他の宗派とは大きく異なります。
以下に簡単に説明します。

基本的には使わない

浄土真宗は本来であれば位牌のいらない宗派。
そのため仮のものである白木位牌も基本的には使わないものとなっています。
ただ「白木位牌の使用を禁止する」という規則が定められているわけではないため、葬儀や法要の場で利用することは可能です。
設置が許可された場合はセットで申し込むことが多いため、必ず置くようにしましょう。

使う場合の処分方法:四十九日法要後にお焚き上げをしてもらう

仏壇やお寺に置かれる正式なものではなく、あくまで仮のものとして扱われる白木位牌は長持ちする作りとはなっていません。
通常白木位牌は、四十九日法要によって個人の魂を本位牌に移しかえられ、以降はお焚き上げをしてもらう形で処分する必要があります。

お焚き上げについてはお寺にお布施を払って白木位牌を引き取ってもらうことで、実施できます。
ただ浄土真宗のお寺では通常は必要のないものを預けるため、事前相談を忘れないようにしてください。

本位牌を購入する

白木位牌は四十九日までの仮のものであるため、仏壇に飾る本位牌を別途必ず購入する必要があります。
しかし本位牌を作成する際には、戒名や享年などの文字彫りに2週間以上かかることが多く、四十九日直前に申し込んでいては間に合いません。
遅くとも葬儀から1〜2週間経過したあたりには仏具店に出向き、事前に購入手続きを済ませておくようにしましょう。

③位牌の選び方に気を付ける

位牌は日常的に購入するものではなく、価格やデザインがさまざまで、選び方に悩む方も多いでしょう。
実際に「選び方を間違えた」という声も少なくありません。
特に注意すべき2つのポイントを紹介します。

白木位牌:購入とお焚き上げの費用を考慮する

まず仮の位牌である白木位牌については、購入するのと同時に49日が経過した後の閉眼供養(位牌から故人の魂を抜き取る作業)とお焚き上げでどの程度かかるかを考える必要があります。

この閉眼供養・お焚き上げの費用は地域やお寺によってさまざまで、1万円〜10万円とかなりさがあります。
この費用負担も白木位牌購入時に考慮し、思わぬ出費であわてないようにしましょう。

本位牌を選ぶポイント

①仏壇とのバランスを考える
本位牌は、仏壇の大きさに合ったものを選ぶことが重要です。
特に、ご本尊よりも大きくならないように注意しましょう。
また、すでにご先祖様の位牌がある場合は、それに合わせるか小さいものを選ぶのが一般的です。
お寺や仏具店に相談し、状況に応じた選び方をしましょう。

➁祀る人数やデザインを考慮する
基本的には故人一人につき1つですが、繰出位牌(6~8名分を1つにまとめる)や夫婦位牌もあります。
仏壇のスペースも考慮し、適切なものを選びましょう。

また、伝統的な黒塗りの位牌や木製の唐木位牌(3~4万円)に比べ、モダンなデザインの位牌は5.5万~15万円と高額になりがちです。
見た目や予算を考慮し、慎重に選びましょう。

④浄土真宗独特の法名(戒名)の作り方に注意する

浄土真宗で位牌の作成が許可されても、法名の彫り方には独自の決まりがあります。
他宗派と異なる点も多く、確認を怠ると親族の反感や余計な費用が発生することも。

作る際は、以下のポイントに注意しましょう。

頭文字は「釋(釈)」を使用(入れなくても良い)

まず注意しなければならないのは、法名の頭文字です。
浄土真宗の場合、基本的な法名は「釋(釈)〇〇」という3文字となっているので、それに従うようにしましょう。
ただ、お寺によっては伝統的な習慣に従い、男性は「釋(釈)〇〇」、女性は「「釋(釈)尼〇〇」とつけることもあるので指示に従うようにしてください。
また家系によっては法名の上に「〇〇院」という院号をつける場合もありすが、この場合はお布施が高くなることが多い点に注意が必要です。

下の置字として「位」は基本的に使わない

一般的な位牌においては、法名の下に「位」や「霊位」といった置字を使うことが多いです。
しかし浄土真宗においては、たとえ位牌を作成できる場合でも基本的には置字を入れないことになっています。
間違ったものをつくらないためにも、仏具店などで本位牌を注文する際には、浄土真宗のものであることを明確に伝えるようにしましょう。

本位牌の没年月日に「没」や「寂」はあまり用いない

白木位牌においては亡くなった方の没年月日の下に「没」や「寂」という文字が入ることがあります。
ただこの文字については本位牌には基本的に入れないものです。
ご先祖様の位牌に入っているなどの特殊な事情がない限りは避けるようにしましょう。

年齢の表記方法は先祖に合わせる

位牌の年齢表記には「行年」と「享年」の2種類がありますが、意味は同じです。
どちらを選ぶか迷うと製作が進まない原因になるため、ご先祖様の位牌に合わせるのが無難です。
また、本位牌の書き方は白木位牌に準じ、お墓の表記も統一しましょう。

浄土真宗は位牌の代わりに過去帳や法名軸が作られる

過去帳

近年、浄土真宗でも位牌の作成を許可するお寺が増えつつありますが、「往生即成仏」の教えを重んじ、禁止するお寺も少なくありません。

その代わり、ご先祖様や故人を偲ぶものとして「過去帳」や「法名軸」が用いられます。
これら浄土真宗で位牌の代わりとされる仏具について、簡単に説明します。

過去帳

過去帳とは、亡くなった方の戒名(法名)や俗名(生前の名前)、没年月日、享年(行年)などを記載した帳面のことです。
一人一つであることが多い位牌とは異なり、過去帳は直近に亡くなった人だけでなく、ご先祖様代々の記録が残っているのが特徴です。

仏壇に設置する際には過去帳見台という専用の台を用意してその上におきます。
ただこれは法名や月命日など特別な時に使うことが多いため、普段は仏壇の引き出しの中に保管しておくのが一般的です。

過去帳はページごとに1日、2日、3日という構造になっているものとそうでないものがあります。
すでに日付の記載がある場合は故人の命日の箇所に記録するようにしましょう。
日付の記載がない場合は亡くなった順に記録してください。
基本的には誰でも記入することが可能ですが、法要の時に記載することが多いためお寺の方にお任せすることをおすすめします。

法名軸

法名軸とは亡くなった方の法名(戒名)や俗名(生前の名前)、没年月日、享年(行年)が書かれた小さな掛け軸です。
記載内容は過去帳と同じですが、より正式なものとされています。
一般的には四十九日までにお寺に作成いただくようにお願いし、仏壇に掛けます。

仏壇の右側に両親や直近亡くなった人を、左側にご先祖様の法名軸を掛ける決まりがあるので、遵守するようにしましょう。
また普段は仏壇の内側に掛けますが、一周忌などの法要を行う際には仏壇の前に掛けるのが決まりとなっています。
ただお盆の際には盆棚に掲げる場合もあるなど地域によって異なる決まりがあるため、お寺に依頼する時に確認するようにしてください。

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浄土真宗その他仏具の選び方

浄土真宗の仏壇

浄土真宗では、「往生即成仏」の教えにより、霊が帰るという考えはありません。そのため、仏具の扱いも禅宗や日蓮宗とは異なる点が多いです。

代表的な違いとして、以下の2つを紹介します。

仏壇:本来は不要。近年ではご本尊のために購入することが多い。

浄土真宗では、亡くなるとすぐに極楽浄土へ往生するため、故人を祀る仏壇は本来不要とされています。
しかし近年では、ご本尊を祀る目的で仏壇を設置する考えが主流になっています。

浄土真宗では、「塗り仏壇」や「金仏壇」と呼ばれる金色の仏壇が多く選ばれます。
これは、阿弥陀如来が住む極楽浄土を象徴する色とされ、仏壇を通じてその世界を再現するためです。

また、一般的な仏壇は、①ご本尊➁ご先祖様の位牌③五具足(香炉・花立て×2・火立て×2)④お供物
の順で配置されますが、浄土真宗では位牌を祀らず、「前卓」と呼ばれる机に五具足を並べるのが基本です。

さらに宗派においても違いが見られ、例として本願寺派と大谷派では以下のような違いがあります。
本願寺派:仏壇の屋根は一重で、金箔を押して金の金具を打ち付けた柱になっています。
大谷派:仏壇の屋根は二重で、柱は漆の黒塗りのものでその上から金の金具を打ちつけたものです。

それ以外にも宗派に応じて仏壇・仏具などは異なるため、お寺や仏具店に相談してみるといいでしょう。

法名軸と過去帳:仏壇の大きさで決める。

法名軸と過去帳を購入する際に注意するべき点は、基本的に位牌と同様で、仏壇の大きさに応じて決めることが多いです。
例として一般的に仏壇の大きさとしてよく売られている18号サイズ(奥行54cm×台幅61cm×高さ160cm)であれば、3.5寸(約10.6cm)の過去帳を購入することが良いとされています。

浄土真宗は日本でも屈指の規模を誇る宗教だけに、仏具店も位牌と同様、過去帳や法名軸を販売していることが多いです。
ご家庭の事情によっても状況は異なると思われるため、仏具店の方とよくご相談の上で検討してください。

よくある質問

浄土真宗の葬儀で位牌以外に気をつけるものは何か?

浄土真宗の葬儀では、死者はすでに極楽浄土に迎えられていると考えられるため、成仏を祈る儀式は行われません。
そのため、引導や授戒、死装束、清めの塩、霊を送る風習などは不要とされています。

また、通夜(通夜勤行)では合掌・礼拝・お焼香の対象は阿弥陀如来であり、故人ではありません。
さらに、「戒名」ではなく「法名」を用いることも特徴の一つです。
他宗派との違いを理解し、適切に対応しましょう。

浄土真宗のどの宗派かわからない場合はどうするのか?

浄土真宗の宗派が不明な場合は、年長の親戚や菩提寺に確認するのが最も確実です。

特に本願寺派と大谷派は違いが多く、仏壇・仏具・ご本尊の形状で見分けることが可能です。

仏壇:本願寺派は金箔、大谷派は黒塗り
仏具:本願寺派は黒色、大谷派は金色が中心
ご本尊:阿弥陀如来の後光が8本なら本願寺派、6本なら大谷派


これらを参考に、正しい宗派を確認しましょう。

まとめ

浄土真宗では、往生即成仏の教えに基づき、位牌は本来不要とされています。
その代わりとして、過去帳や法名軸を用いるのが一般的です。しかし、どうしても位牌を作りたい場合は、宗派の教えを理解した上で慎重に選ぶことが大切です。
特に、白木位牌の処分方法や戒名の書き方については注意が必要です。
位牌を作るかどうか迷った場合は、まずはお寺に相談し、適切な形で供養を行いましょう。

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