墓守(はかもり)とは?
墓守(はかもり)とは、文字通り家族の中心となって「お墓を守る人」のことをいい、お墓の掃除や維持、法要の手配、管理費の支払いなどを行います。
他にも、墓地や霊園の管理人やお寺の住職など、承継者の代わりに管理をしてくれる人のことを墓守ということもあります。
墓守は誰が行う?
墓守は、家族や親族の中から選ばれることが一般的で、法律上「祭祀承継者」としてお墓や仏壇などの祭祀財産を継承します。
以前は長男又は長女が墓守を務めるのが一般的でしたが、現在では家族の状況や意向に応じて、誰が墓守を務めるかを話し合いで決めるケースが増えています。
例えば、長男以外の子供や、場合によっては娘が墓守を務めることもあれば、遠方に住む家族が定期的な清掃を担当し、近隣に住む親族が法要の手配を行うなど、墓守の役割を複数の家族で分担することも可能です。
家族間での話し合いが重要であり、全員が納得できる形で決定することが望ましいです。
また、近年では墓守り代行サービスを利用するケースも増えています。
墓守の負担を軽減する方法
家族や親族で墓守を担うことが難しい場合、第三者に依頼する方法もあります。
近年、墓守代行サービスや永代供養墓の利用が増加しています。
墓守代行サービスでは、専門の業者が定期的にお墓の清掃や供養を行います。
一方、永代供養墓は、お寺や霊園が永続的に供養と管理を行うお墓の形態です。
これらのサービスを利用することで、家族の負担を軽減し、遠方に住んでいる場合や高齢で管理が難しい場合でも、先祖の供養を続けることが可能です。
ただし、サービスの内容や費用は各業者によって異なるため事前に詳細を確認し、信頼できる業者を選び、納得の上で選択することが重要です。
また、お墓の維持が難しい場合、墓じまいを検討することも一つの方法です。
墓守と墓地の管理人の違いは?
墓守は主に個人や家族のお墓を管理し、墓地の管理人は墓地全体の維持や運営を担当します。
墓守と墓地の管理人は、共にお墓に関わる役割を持っていますが、その責任範囲や業務内容は異なります。
では、どのように違うのか詳しく解説していきます。
墓守の役割
●お墓の清掃
定期的にお墓を訪れ、草取りや墓石の掃除を行います。
●法要の手配
命日やお盆などの際に、僧侶への依頼や親族への連絡を行います。
●管理費の支払い
霊園や墓地の年間管理費を支払います。
●名義変更や納骨の手続き
新たな遺骨を納める際の手続きや、お墓の名義変更を行います。
墓守は上記のような役割があるため、お墓の近くに住んでいて、身体が不自由でない人が墓守りになることが重要です。
長男・長女であっても遠方に住んでいて管理が難しい場合や、身体が不自由な場合は、親族に相談し協力してもらいましょう。
墓地管理人の役割
●共有施設やエリアの清掃
墓地内の通路や共用スペースの清掃を行います。
●設備管理
水道や照明など、墓地内の設備の点検や修繕を担当します。
●利用者対応
墓地を訪れる人々への案内や問い合わせ対応を行います。
●契約管理
墓地使用者との契約手続きや管理費の徴収を行います。
墓地管理人は、上記のようなお墓の簡単な清掃や共有スペースの管理が主な仕事です。
墓地によっては丁寧にお墓の供養をしてくれる管理人もいますが、基本的には各家のお墓の区画内は墓守の仕事ですので、任せきりにしないようにしましょう。
墓守が負担する費用相場
墓守にかかる費用は、お墓を維持管理し、先祖を供養するための大切な費用です。
墓守だからといって一人で負担する必要はなく、親族間で分担することも可能なので、話し合って決めると良いでしょう。
ここでは、具体的な費用の内訳と相場を解説します。
霊園や墓地の年間管理費
霊園や墓地の管理費は、共有部分の清掃や設備の維持に充てられます。
一般的には年間3,000円~20,000円程度が相場です。
法要や納骨の費用
一周忌・三回忌・七回忌の命日や、お盆などに行う法要、また納骨の際にはお布施が必要です。
僧侶へのお布施は30,000円~50,000円程度が相場です。
墓石のメンテナンス費用
墓石が汚れたり、ひび割れたりした場合には清掃や修繕が必要です。
軽い掃除は数千円程度ですが、大規模な修繕では数万円~十数万円かかることもあります。
名義変更にかかる費用
お墓を継承した際は、名義変更をする必要があります。
お墓の名義変更にかかる費用は、1,500円~5,000円程です。
墓守になったときに必要な手続き
墓守になる際、最も重要な手続きの一つが「墓地使用権の名義変更」です。
お墓は通常「永代使用権」という形で管理されており、これを次の墓守に引き継ぐ際は、下記の書類が必要です。
【承継使用申請書】
霊園や寺院から提供される申請用紙
【霊園の使用許可証】
お墓の使用権を証明する書類
【申請者と故人の戸籍謄本】
承継者と使用者の関係を証明するために必要
【申請者の実印と印鑑証明】
実印を使用する場合に求められます
【遺言書】
故人が承継者を指定している場合
【協議成立確認書及び協議者全員の印鑑証明】
故人が承継者を指定していない場合
手続きに関してわからないことは、霊園や寺院に直接確認すると良いでしょう。
墓守がいない場合はどうすればいい?
墓守がいない場合、以下の方法で供養することができます。
【墓じまい】
お墓を撤去し、遺骨を他の供養方法に移す手続きです。
散骨や手元供養など、供養方法は様々です。
【永代供養】
お寺や霊園が永続的に供養と管理を行う方法です。
納骨堂や永代供養墓に納めることができ、数年後、合祀墓に埋葬されます。
これらの方法により、墓守がいなくても先祖の供養を続けることが可能です。
また、後継者に負担をかけたくない場合にも適した選択肢です。
墓じまいのメリット
墓じまいの主なメリットとして、以下が挙げられます。
●管理負担の軽減
お墓の維持管理が不要になります。
●費用の削減
将来的な管理費や維持費がかからなくなります。
●後継者問題の解消
墓守がいない場合の問題を解決できます。
永代供養のメリット
永代供養の主なメリットとして、以下が挙げられます。
●供養の継続
お寺や霊園が定期的に供養を行います。
●管理不要
遺族が直接お墓の管理をする必要がありません。
●費用の明確化
一度の支払いで長期的な供養と管理が保証されます。
お墓に税金はかかるのか?
墓守が負担する費用の中で、消費税がかかるものとかからないものがあり、具体的には、以下の通りです。
【消費税がかかる費用】
・墓石代
・工事費用
・年間管理費
【消費税がかからない費用】
・墓地代(永代使用料)
また、お墓や仏壇などの祭祀財産は、相続税法第12条により非課税とされているので、相続税や贈与税は基本的にかかりません。
ただし、生前に名義変更を行った場合、贈与税の対象となる可能性がありますが、基礎控除額(110万円)を超えることは稀です。
固定資産税や都市計画税も支払う必要はなく、これは墓地が公共性の高い非課税資産とみなされているためです。
しかし、墓地の用途を変更した場合や、営利目的で使用する場合には、課税対象となる可能性があります。
よくある質問
墓守代行サービスを利用するメリットとデメリットは?
墓守代行サービスは、お墓の掃除や供養を代行してくれる便利なサービスです。
メリットは、遠方に住んでいる方や高齢で作業が難しい方でも、定期的にお墓がきれいに保たれることです。
一方で、年間契約の費用が数万円~十数万円と負担になることや、直接お墓参りができないことがデメリットです。
サービス内容や料金を比較し、自分たちのニーズに合ったものを選ぶことが重要です。
墓守を引き継がないと法律的に問題がありますか?
墓守を引き継がないこと自体は法律違反ではありません。
ただし、管理費の未納が続くと、霊園や墓地からお墓を撤去される可能性があります。
また、親族間でのトラブルが生じることもあるため、引き継がない場合は早めに相談し、墓じまいなど他の供養方法を検討することが大切です。
まとめ
墓守は、先祖供養を続けるための大切な役割を担う一方で、家族にとって大きな負担となる場合があります。
現代では、少子高齢化や核家族化により、墓守の在り方が大きく変化しています。
今回の記事では、
・墓守の役割や費用の内訳
・墓守になったときの必要手続き
・墓守がいない場合の供養方法
・お墓にかかる税金について
などを詳しく解説しました。
家族の状況や希望に応じた最適な方法を選ぶことで、安心して先祖供養を続けていくことができます。
墓守に関する課題は一人で抱え込まず、家族や専門家と相談しながら解決していきましょう。