納骨堂と永代供養の違いとは?関係性やメリットをわかりやすく解説
最新編集日:2025年09年30日
納骨堂と永代供のどちらがよいのかわからない‥ とお悩みではありませんか。
実はこの2つは比較するものではありません。
納骨堂は「お墓の種類」であり、永代供養は「供養の方式」です。多くの場合、「永代供養付き納骨堂」として組み合わせて提供されています。
この記事では、お墓の継承や管理に不安を感じている方向けに、以下の内容についてわかりやすく解説します。
〈記事を読んでわかること〉
● 納骨堂と永代供養の言葉の意味
● 永代供養だからこそのメリット
● 納骨堂だからこそのメリット
● 合祀された後も永代供養は続くこと
この記事が、あなたの家族に最適なお墓選びのお役に立てたなら幸いです。

著者・監修者
株式会社ディライト 代表取締役
葬儀の人材派遣と集客支援の最大手、株式会社ディライトの代表取締役。20歳で葬儀の人材派遣ス...
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監修者
寶鈴山 淨福寺住職
昭和51(1976)年生まれ。平成30年に住職拝命。保護司また宗教教誨師として従事。皆様に...
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監修者
株式会社武蔵野御廟 渉外企画担当部長
室内墓所(自動搬送式納骨堂)の販売を行う株式会社武蔵野御廟にて、渉外・業務提携・イベント企...
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編集者
お墓ディレクター2級取得者
東京都出身。計400社以上の墓石、葬儀会社と繋がりを持ち、お墓ディレクター2級を有している...
続きを読む納骨堂と永代供養は比較すべきものではない
結論、納骨堂は「お墓の種類」、永代供養は「供養の方式」であり、この2つは比較すべきものではありません。
まずは、納骨堂と永代供養の基本的な意味と関係性について、わかりやすく解説します。
納骨堂と永代供養の意味
納骨堂とは:
納骨堂は、建物の中に遺骨を安置する屋内型のお墓です(つまり、お墓の種類の名称)。
従来の石のお墓(「一般墓」)とは異なり、遺骨を骨壷のまま収納スペースに保管(安置)します。納骨堂は主に5つの種類に分かれますが、詳細については本記事の後半で解説します。
永代供養とは:
永代供養とは、寺院や霊園が、遺族に代わってお墓の管理、遺骨の供養を行うこと(供養の方式)を指します。なお「永代」とは「未来永劫・永遠」ではありません。「寺院や霊園が存続する限り」という意味ですので覚えておくとよいでしょう。
納骨堂と永代供養の関係 → 「永代供養付き納骨堂」が主流
納骨堂は「お墓の種類」、永代供養は「供養の方式」ですが、現在では、「永代供養付き納骨堂」が主流です。
永代供養だからこそのメリット
ここでは永代供養だからこそ生まれるメリットについて解説します。納骨堂に限らず、「永代供養付きの樹木葬」や「永代供養墓(永代供養付きの石のお墓)」でも得られるメリットです。
継続的に供養を受けられる
永代供養のメリットの一つは、寺院や霊園が責任を持って供養を続けてくれることです。
具体的には、日々の読経やお盆・彼岸の合同法要など、寺院・霊園が継続して供養を執り行います(頻度や内容は施設により異なる)。遺族が遠方に住んでいる場合や、高齢でお参りが困難になった場合でも、供養が途切れることがないため、安心感を得られるでしょう。
故人が無縁仏にならない / お墓が無縁墓にならない
永代供養のもう一つのメリットは、承継者(お墓の管理を引き継ぐ人)がいなくなっても、「無縁仏(むえんぼとけ)」「無縁墓(むえんばか)」にならないことです。
永代供養付きのお墓なら、誰一人お墓参りに来なくても、寺院や霊園による供養(日々の読経や定期法要)が続けられるため、故人が無縁仏になることはありません。
また、永代供養が付いていないお墓は、管理者がいなくなると無縁墓になり、墓地が荒れてしまうという問題があります。しかし、永代供養付きのお墓では、寺院や霊園が、継続して清掃・管理を行うため、墓地が荒廃する心配はありません。
納骨堂だからこそのメリット
「永代供養付き納骨堂」には納骨堂という種類のお墓だからこそのメリットがあります。以下に、わかりやすく解説します。
初期費用が安い(墓石・工事が不要だから)
納骨堂は墓石を建てる必要がないため、石材費や工事費を大幅に削減できます。一般的なお墓(一般墓)は、墓石代だけで100万円を超えることも珍しくありません。一方で、納骨堂は平均で80万円程度で利用できます。
墓じまいの費用がかからない
一般墓は墓じまいの際に「墓石の解体工事・撤去工事」が必要で、数十万円の費用が発生します。しかし、納骨堂は墓じまいが不要なためこの費用はかかりません。ただし、納骨堂を解約して遺骨を取り出す際は、返骨手数料(数万円)、行政手数料(数百円〜数千円)がかかります。
清掃・管理の手間がかからない
納骨堂は屋内施設なので、お墓掃除が不要です。施設内はスタッフや業者が清掃するため、家族に負担はかかりません。
季節や天候に左右されずお参りできる
納骨堂は屋内施設であり、空調も完備されているため、猛暑や厳寒の日でも、雨や雪の日でも、常に快適にゆっくりお参りすることができます。
アクセスがよい
納骨堂の多くは、駅から徒歩圏内の場所に立地しているため、マイカーがない方でも頻繁にお墓参りできます。高齢者にも大きな負担はかかりません。
宗教宗派不問の納骨堂が多い
多くの納骨堂では宗教や宗派を問わず利用できます。仏教系寺院が運営する納骨堂でも、檀家(だんか)加入を強要されないケースが多くなっています(宗旨不問)。
納骨堂のデメリット
納骨堂のデメリットについても説明しておきましょう。永代供養の有無にかかわらず、納骨堂には以下のデメリットがあります。
一定期間を過ぎると合祀される
多くの場合、契約期間(13回忌まで、33回忌まで等)が過ぎると、遺骨は合祀(※)され、個別に取り出せなくなります。合祀されるまでの期間を長くしたい方は、契約期間が長い納骨堂か、延長できる納骨堂を選びましょう。
※ 合祀(ごうし):故人の遺骨を骨壺から取り出し、他の方の遺骨と一緒に埋葬すること
遺骨の収蔵数に制限がある
納骨堂はプランによって納骨できる遺骨の数に限りがあります。将来の家族構成を考慮してプランを選ぶこと、追加納骨が可能かどうかを確認しておくことが重要です。
線香やお供え物に制限がある
多くの納骨堂は、防火上の理由で線香やローソクの使用を禁止しています。また、衛生上の理由で食べ物や生花のお供え物も禁止、または持ち帰る決まりになっています。
落ち着いてお参りできない場合がある
納骨堂は参拝スペースが共用になっていることが多く、静かにお参りできない場合があります。混雑するお盆や彼岸を避けてお参りすることが解決策になります。
建物の老朽化の影響を受ける
建物である以上、納骨堂も経年劣化は避けられません。多くの施設では改修費用は年間管理費や修繕積立金から捻出されますが、念のため、契約前に「負担の有無」「上限金額」について確認しておきましょう。
合祀された後も永代供養は続いている
基本的に、納骨堂では遺骨は骨壺に入れたまま保管されます。しかし、一定の期間を過ぎると遺骨は合祀され、多くの方々の遺骨と混じり合います。つまり、永代供養付きの納骨堂を選んだからといって、永遠に遺骨が個別保管されるわけではありません。
「合祀された時点で永代供養は終了する」と思っている方もおられますが、合祀墓(※1)や合祀塔(※2)の前でも定期的に読経が行われます。つまり、合祀後も永代供養は続いているのです。
なお、合祀されるまでの期間を「個別保管期間(個別安置期間)」といいます。個別保管期間は33年(33回忌まで)の施設が多く、都市部を中心に、さらに短い13年(13回忌まで)、7年(7回忌まで)に設定している施設もあります。
※1 合祀墓(ごうしぼ):複数の方の遺骨を合わせて埋葬する墓。共同の墓碑や慰霊碑が建立されることが多い。
※2 合祀塔(ごうしとう):合祀墓の一種。地上部が塔状の建物、地下が合祀用スペースになっている。
納骨堂の費用相場
ここまで、永代供養付き納骨堂のメリット・デメリット、合祀された後も永代供養は続いていること、について解説してきました。
ここでは「永代供養付き納骨堂」の費用(初期費用、追加費用、年間管理費)について解説します。
納骨堂の初期費用
初期費用は納骨堂の契約時に支払う費用で、この記事のテーマである「永代供養」の費用も初期費用に含まれています。
初期費用に含まれる主な項目:
● 永代供養料:永代にわたって遺骨(故人)を供養・管理してもらうための費用
● 永代使用料:納骨スペースを永代(長期間)にわたって使用するための権利料
● 納骨料:遺骨を納骨する際の手数料(通常1体ごと)
● 開眼・納骨法要のお布施:納骨式での僧侶への謝礼
位牌の製作費用:位牌式納骨堂の場合だけ初期費用に含まれる
● 石碑への家名の刻字料:墓石式納骨堂の場合は初期費用に含まれる
納骨堂は主に下表の5種類に分類されます。タイプごとの初期費用の目安は下表のとおりです。
当サイトの調査では、納骨堂の購入金額は30万円〜50万円が
20.2%と最も多く、次いで50万円〜70万円が
18.6%となっています。
追加費用(オプション費用)
基本費用以外に、以下のような追加費用が発生することもあります。
追加費用がかかる主な項目:
● 追加納骨料:2体目以降の納骨費用
● 個別法要料:7回忌・13回忌等の法要の費用
● 位牌の製作費用:位牌式納骨堂以外のタイプで位牌を作る際の費用
● 遺骨取り出し手数料:改葬などで遺骨を取り出す際の費用
● 供花・お供え物の手配料:施設経由で手配する際の費用
● 戒名料:戒名を授かる際の費用
石碑への個人名・戒名などの追加刻字・色入れ:墓石式納骨堂で必要となる費用
これらの追加費用は施設によって大きく異なるため、契約前にしっかりと確認しておくことが重要です。
年間管理費
年間管理費とは、施設の設備の維持・管理や共用スペースの清掃に使われる費用です。供養(永代供養)のために請求される費用ではありません。
年間管理費の相場は5千円〜2万円前後ですが、都市部の自動搬送式などでは3万円を超える場合もあります。
納骨堂探しから納骨までの流れ
納骨堂選びから納骨までの基本的な流れを4つのステップで解説します。
①情報収集・比較検討
まずは希望条件を整理しましょう。主なポイントは以下のとおりです。
▢ 立地・アクセス
▢ 予算(初期費用・追加費用・年間管理費)
▢ 宗教宗派の条件
▢ 遺骨の収蔵人数
▢ 遺骨の個別保管期間
希望条件が決まったら、インターネットなどで複数の納骨堂を比較検討し、資料を取り寄せます。
②現地見学
候補を3〜5か所に絞り込んだら、実際に現地見学を行います。見学時に確認すべき主なポイントは以下のとおりです。
▢ 施設の清潔さと雰囲気
▢ 参拝スペースの使い勝手
▢ お供え物やお参りのルール
▢ 費用の詳細(追加費用の有無)
▢ 遺骨の個別保管期間と延長の可否
③契約
見学を終えて施設を決定したら契約を行います。契約時に必要な主な書類等は以下のとおりです。
▢ 身分証明書
▢ 印鑑
▢ 初期費用
契約書の内容、特に遺骨の個別保管期間や解約規定については必ず確認しましょう。
④納骨式
契約完了後、納骨式を行います。納骨式当日の主な持ち物は以下のとおりです。
▢ 遺骨
▢ 埋葬許可証(火葬場で発行される書類)
▢ 契約書類
▢ お布施(寺院納骨堂の場合)
納骨式では僧侶による読経が行われ、遺骨を納骨堂に安置します。これで永代供養付き納骨堂での供養が始まります。
Q.永代供養と永代使用は違うのですか?
A.はい、違います。永代供養は「永代使用」とよく混同されますが、下表の違いがあります。
Q.永代供養でも遺骨はずっと個別で保管されますか?
A.いいえ、多くの場合は一定期間後に合祀されます。「永代供養」という名前から「遺骨も永遠に個別管理」と思われがちですが、供養は施設が存続する限り続く一方で、遺骨の個別保管期間には制限があることが一般的です。個別保管期間は施設によって異なるため、契約前に必ず確認しましょう。
Q.合祀の時期は決まっていますか?変更できますか?
A.合祀の時期は契約時に決められており、13回忌、33回忌、50回忌などがあります。施設によっては期間延長のオプションもありますが、多くの場合、追加費用がかかります。一部の施設では永代個別保管プランも提供しています。
Q.遺骨の取り出し(改葬)は可能ですか?いつまでできますか
A.個別保管期間中であれば、所定の手続きを経て取り出すことが可能です。ただし、合祀後は他の方の遺骨と混じり合うため、個別の取り出しは基本的にできません。改葬を検討する可能性がある場合は、個別保管期間の長い施設を選ぶことをおすすめします。
Q.年間管理費はずっと必要ですか?
A.施設によって異なります。個別保管期間中のみ必要な場合、合祀後も継続する場合、契約時に一括前払いで以降不要な場合など、様々なパターンがあります。長期的な費用負担を把握するため、契約前に必ず確認しましょう。
Q.宗派が違っても利用できますか?
A.多くの納骨堂では宗教や宗派を問わず利用できます。ただし、一部の寺院納骨堂では檀家になることが条件の場合もあります。宗教的な制約については見学時に確認することが大切です。
まとめ
この記事では「納骨堂と永代供養の違い」について解説してきました。また「永代供養の本質的なメリット」「合祀後も永代供養が続くこと」についてもご紹介しました。ポイントは以下の3点です。
この記事のポイント:
1. 納骨堂は「お墓の種類」、永代供養は「供養の方式」、比較すべき対象ではない
2. 永代供養の本質的なメリットは「供養が続く」「無縁にならない」の2点
3. 遺骨が合祀された後も、施設が存続する限り、供養は永代にわたり続く
この記事を読んで、永代供養に関する疑問が解消されたのではないでしょうか。正確な知識を持って納得できるお墓選びができることを願っています。
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