納骨堂をやめるためには?手順や費用・注意点など詳しく解説!
最新編集日:2025年10年29日 
「納骨堂をやめたいけど何から始めればいいのかわからない‥」「解約手続きの流れや費用が心配‥」 
このような悩みをお持ちではありませんか。納骨堂をやめる際は、正しい手順と事前準備が重要です。
この記事では、納骨堂の解約を検討されている方向けに、お墓のプロの視点から、トラブルを避けて円満に手続きを進めるポイントをお伝えします。
〈記事を読んでわかること〉
● 納骨堂をやめる9つの手順
● 納骨堂をやめる際にかかる費用
● 納骨堂をやめる際の注意点
「離檀料」「改葬許可証の取得方法」「永代使用料・永代供養料の返金」など、実際の手続きで必要になる具体的な情報も網羅しています。
この記事が、あなたが安心して納骨堂じまいを進める一助となれば幸いです。

著者・監修者
株式会社ディライト 代表取締役
葬儀の人材派遣と集客支援の最大手、株式会社ディライトの代表取締役。20歳で葬儀の人材派遣ス...
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編集者
お墓ディレクター2級取得者
東京都出身。計400社以上の墓石、葬儀会社と繋がりを持ち、お墓ディレクター2級を有している...
続きを読む納骨堂をやめる9つの手順
納骨堂をやめる際は、以下の9つのステップを順番どおりに進めましょう。
ステップ1|契約書の内容を確認する
ステップ2|家族や親族に相談する
ステップ3|現在の納骨堂の管理者に相談する
ステップ4|遺骨の移転先(新しいお墓)を決める
ステップ5|現在の納骨堂から「埋蔵証明書」を発行してもらう
ステップ6|移転先から「受入証明書」を発行してもらう
ステップ7|自治体から「改葬許可証」を交付してもらう
ステップ8|遺骨を取り出す(閉眼供養を行う場合もある)
ステップ9|遺骨を移転先に納骨する
以下、各ステップについてわかりやすく解説します。
ステップ1|契約書の内容を確認する
まずは契約書の「解約に関する条項」を確認しましょう。
多くの場合、違約金や解約手数料、遺骨の取り出し方法などが明記されています。「解約に関する条項」がない場合は、納骨堂の管理者と相談しながら手続きを進めていきます。
ステップ2|家族や親族に相談する
納骨堂をやめるときは、必ず事前に家族や親族に相談しましょう。
突然やめてしまうと「勝手に決めた」と反発を招く可能性があります。相談する際は、やめる理由を明確に伝え、新しい供養先についても一緒に検討する姿勢を見せると理解を得やすくなるでしょう。
ステップ3|現在の納骨堂の管理者に相談する
家族の同意を得たら、現在の納骨堂の管理者に連絡します。
民営納骨堂の場合、事務手続きのみで解約手続きが進むことが多いですが、寺院納骨堂を解約して檀家を離れる際は(離檀する際は)、新しい供養先(遺骨の移転先)を決める前に相談しましょう。
決定事項として一方的に解約を申し出たり、直前に連絡することは避け、「長年の供養に対する感謝の気持ち」を心を込めて伝えることが大切です。
ステップ4|遺骨の移転先(新しいお墓)を決める
この段階で遺骨の移転先(新しいお墓)を決めておきましょう。
納骨堂から遺骨を取り出す手続きの際に、新しい納骨先の情報が必要になる場合があるためです。急いで移転先を決めてしまい、「やはり他の供養方法がよかった‥」と後悔しないために、時間的に余裕をもって探しておきましょう。
ステップ5|現在の納骨堂から「埋蔵証明書」を発行しても
ステップ5~7は必要書類に関する解説です。初めに、現在の納骨堂の管理者から「埋蔵証明書」を発行してもらいます。
埋蔵証明書とは「この納骨堂に誰が眠っているか」を証明する書類です(施設によって書類の名称が異なる場合もあります)。
ステップ6|移転先から「受入証明書」を発行してもらう
次に、新しい納骨先の管理者から「受入証明書」を発行してもらいます。
受入証明書とは「遺骨の受け入れを許可したこと」を証明する書類です(「遺骨受入証明書」「改葬受入証明書」という名称の場合もある)。
ステップ7|自治体から「改葬許可証」を交付してもらう
次に、現在の納骨堂がある市町村に「改葬許可証」の交付を申請しましょう。
参考:
改葬許可証の交付申請(東京都港区)
現在の納骨堂から他の供養先に遺骨を移すことは、法律上は「改葬」に当たるため、改葬の許可を得る必要があるのです。
「改葬許可申請書」という書類に、埋蔵証明書と受入証明書を添付して
(ともに原本)、必要事項を記入して申請すると、即日または数日以内に改葬許可証が交付されます(自治体によって異なる)。
改葬許可証の原本は大切に保管しておきましょう。新しい納骨先に納骨する際に「提出」が必須だからです。現在の納骨堂から遺骨を取り出す際に「提示」を求められることもあります。 ステップ8|遺骨を取り出す(閉眼供養を行う場合もある)
いよいよ、管理者立会いのもとで遺骨を取り出します。
契約内容やご希望により、取り出し前に僧侶による儀式(「閉眼供養(へいがんくよう)」など)を行う場合もあります。
閉眼供養とは、故人の魂が宿っているとされる納骨スペースから、いったん魂を抜く儀式です。「魂抜き」ともいわれます。
ステップ9|遺骨を移転先に納骨する
最後に、新しい供養先に遺骨を納骨します。保管していた改葬許可証の原本を忘れずに持参しましょう。
納骨堂をやめる際にかかる費用
結論、納骨堂をやめる際にかかる費用の目安は合計10万円~30万円程度です。以下がその内訳です。
● 違約金:利用期間・契約内容による
● 遺骨の取り出し料:1万円~3万円程度(1体あたり)
● 解約手数料:数百円~数千円程度(施設によっては無料)
● 書類の発行費用:計数千円
● 儀式(閉眼供養等)のお布施:数万円程度
● 離檀料:10万円~20万円程度
違約金が発生せず、現在の納骨堂が寺院納骨堂でなければ、遺骨の取り出し料と書類の発行費用だけですむケースもあります。以下、それぞれの費用について解説します。
違約金
利用最低期間が経過していないうちに解約する場合は、違約金が発生する場合があります。違約金が発生する条件を契約書で確認しておきましょう。
遺骨の取り出し料
遺骨の取り出し料の相場は、1体あたり1万円〜3万円です。取り出した際に納骨袋や骨壺を交換する場合は実費を請求されます。また納骨スペースの原状回復費用を請求される場合もあります。
解約手数料
解約手数料とは、施設が解約処理を行うための事務手数料で、数百円~数千円程度が相場です。遺骨の取り出し料に含まれている場合もあります。
書類の発行費用
納骨堂をやめるときに必要な書類の発行費用を下表にまとめました。
上記は必須の書類ですが、発行費用は最大でも数千円程度でおさまるでしょう。離檀料(寺院納骨堂の場合)
寺院納骨堂をやめる際は、住職に離檀料をお渡しするのが一般的で、相場は10万円~20万円程度です。離檀料はあくまでも長年お世話になった感謝の気持ちのお布施ですが、相場を大幅に上回る離檀料を要求された場合は消費生活センターに相談しましょう。
閉眼供養のお布施
遺骨を取り出す際に、閉眼供養を行う場合は、僧侶にお布施を渡すのが一般的です。地域の慣習や寺院との関係によって金額は変わりますが、相場は3万円~10万円程度です。金額が不安な場合は事前に住職に相談しましょう。
新しい供養先の費用
遺骨の移転先(新しいお墓)でかかる初期費用は供養方法によって大きく変わります。
主な移転先:
● 納骨堂(別の納骨堂)
● 一般墓(一般的なお墓)
● 樹木葬
● 永代供養墓
● 散骨
● 手元供養
以下、それぞれの供養方法の費用相場と特徴について解説します。
納骨堂:20万円~120万円
現在の納骨堂から別の納骨堂に遺骨を移すパターンです。納骨堂の費用相場は、納骨堂の種類(ロッカー式、自動搬送式、仏壇式、位牌式、墓石式)や契約内容(プラン)によって大きく変わります。
納骨堂の費用について、くわしく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
一般墓:150万円~350万円
一般的なお墓は、墓石代や墓地代(土地代)が必要なため、ある程度の費用がかかってきます。最近では「永代供養付き一般墓」など新しいお墓のカタチも出てきています。
樹木葬:5万円~120万円
樹木葬は、墓石の代わりに樹木や草花を墓標とし、その周辺に遺骨を埋葬する供養方法です。自然葬の一つで、「死後は自然に還る」という考え方から人気が高まっています。
樹木葬の費用については、以下の記事でくわしく解説しています。
永代供養墓:5万円~150万円
永代供養とは、遺族に代わって墓地や施設の管理者が、永続的に遺骨の管理や供養を行うことです。永代供養付きのお墓全般を「永代供養墓」といい、樹木葬や納骨堂も永代供養墓の一つです。
散骨:5万円~30万円
散骨とは、火葬後の遺骨を粉末状にして海や山、空など自然に撒く葬送方法です。「最後は自然に還りたい」「家族にお墓の負担をかけたくない」という願いを叶えることができる新しい供養の形です。
手元供養:数百円~30万円
遺骨の一部を自宅や手元で保管することを手元供養といいます。ミニ骨壺やガラスの容器に遺骨を収納して安置したり、遺骨をアクセサリーにして身につけたりします。100万円以上かかる場合もありますが、遺骨を宝石に加工してオブジェにする方法もあります。
納骨堂をやめる際の注意点
納骨堂をやめる際に特に注意していただきたい2点について解説します。この2つのポイントを押さえておけば、トラブルを最小限に抑えることができるでしょう。
永代使用料・永代供養料は返金されない
ほとんどの納骨堂では、中途解約した場合、永代使用料(墓地使用料)や永代供養料は戻ってきません。
一括で前払いしていた管理費の残りの期間分も返金されないケースがほとんどです。解約を申し入れる前に、必ず契約書に目を通しておきましょう。
契約内容の例:
「中途解約の場合、納入金は一切返金しない」(薬王山養生寺:納骨堂使用規則)
「既納の使用料・供養料・諸費用の返還はしない」(龍宮山来迎寺:永代供養納骨堂使用規則)事前に関係者に相談する
必ず事前に家族や親族に相談しましょう。独断で手続きを進めることはおすすめできません。後から深刻なトラブルに発展する可能性があるからです。
菩提寺がある場合は、住職にも相談しましょう。相談する際は、「長年ありがとうございました」といった感謝の言葉を添えるとよいでしょう。
Q.離檀料はいくらかかりますか?払わないとどうなりますか?
A.離檀料の相場は10万円~20万円程度です。法的には支払う義務はありませんが、長年お世話になったお寺への感謝の気持ちとしてお渡しするのが慣習です。
 Q.遠方の納骨堂から遺骨を移すときの注意点を押してえて
A.遠方への改葬では、遺骨の輸送方法に注意が必要です。専門の遺骨配送サービス(2万円程度)を利用すると安心です。また、移転先の自治体によって必要書類や手続き期限が異なる場合があるため、事前に確認しておきましょう。
 Q.納骨堂をやめる手続きにはどのくらい期間がかかる?
A.書類の手続き自体は数日~1週間程度で完了しますが、新しい供養先を探したり、家族との話し合い行う時間などを考慮すると、遺骨を取り出すまでには1~2ヶ月かかるのが一般的です。
 Q.納骨前なら解約(キャンセル)できるか?返金されるか?
A.施設の管理者と解約手続きを進めるだけで完了します。支払い済みの永代使用料・永代供養料が返金されるかは契約内容次第ですが、全額戻ってくるケースは稀です。
 Q.閉眼供養(へいがんくよう)とは何ですか?
A.多くの仏教宗派では、納骨スペースには故人の魂が宿ると考えられています。その魂を抜いて単なるスペースに戻す儀式を閉眼供養といいます(閉眼供養は「魂抜き(たましいぬき)」とも呼ばれる)。
ただし、浄土真宗では、魂が納骨スペースに宿ると考えていません。そのため「閉眼供養」や「魂抜き」は行わず、「遷仏法要(せんぶつほうよう)」や「遷座法要(せんざほうよう)」という儀式を行います。
 Q.閉眼供養は必須ですか?お布施の相場はどのぐらいですか?
A.閉眼供養は必須ではありません。
寺院納骨堂では、閉眼供養を行うよう案内されることがありますが、民営納骨堂では利用者が希望する場合のみ、僧侶を呼んで閉眼供養を行います。お布施の目安は1万円〜5万円です。
 まとめ
この記事では、納骨堂をやめるときの手順と費用、事前に注意すべきポイントをご紹介しました。納骨堂をやめる手続きの流れや注意点を理解できたのではないでしょうか。特に重要なのは以下の3点です。
1. 契約書の確認、家族・管理者への事前相談を必ず行う
2. 改葬許可証など必要書類の準備を確実に進める
3. 永代使用料や永代供養料は基本的に返金されない
この記事の内容が、あなたが円満に手続きを進めるお役に立てたなら幸いです。
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