納骨堂の具体的なお参りの方法とは?|準備・マナー・禁止事項も解説
最新編集日:2025年10年17日
納骨堂でのお参りにはどんな方法やマナーがあるのか疑問に思っていませんか。
従来の屋外にあるお墓とは異なる納骨堂では、独特のお参り方法や守るべき規則があります。初めて納骨堂を訪れる方は、事前に確認しておきたいポイントがいくつか存在します。
この記事では、納骨堂でのお参りを検討している方向けに、具体的な方法やマナー、注意点についてわかりやすく解説します。
〈記事を読んでわかること〉
● 納骨堂のお参りと一般的なお墓参りとの違い
● 具体的なお参りの方法(納骨堂の種類別)
● お参りの前の準備(確認事項)
● 納骨堂のお参りのマナー
● 納骨堂のお参りでの禁止事項

著者・監修者
株式会社ディライト 代表取締役
葬儀の人材派遣と集客支援の最大手、株式会社ディライトの代表取締役。20歳で葬儀の人材派遣ス...
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監修者
株式会社武蔵野御廟 渉外企画担当部長
室内墓所(自動搬送式納骨堂)の販売を行う株式会社武蔵野御廟にて、渉外・業務提携・イベント企...
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編集者
お墓ディレクター2級取得者
東京都出身。計400社以上の墓石、葬儀会社と繋がりを持ち、お墓ディレクター2級を有している...
続きを読む納骨堂のお参りは基本的に手ぶらでOK(持ち物は不要)
納骨堂のお参りとは?一般的なお墓参りとの違い
納骨堂でのお参りは、従来の屋外墓地へのお参りとは異なる特徴があります。まず納骨堂がどのような施設なのかを理解し、一般的なお墓参りとの違いを把握することで、安心してお参りできるようになります。
納骨堂はどんな施設?
納骨堂とは、故人の遺骨を安置、供養する屋内施設です。
一般的なお墓(一般墓)のように墓石を建てる必要がないため、大幅に費用を抑えることができます。多くの場合、
永代供養がセットになっており、承継者(お墓の後継ぎ)がいない方でも利用できます。駅から徒歩圏内に立地する納骨堂も多く、アクセスがよいことも人気の理由です。
納骨堂には「ロッカー式」「自動搬送式」「仏壇式」「位牌式」「墓石式」の5種類があり、それぞれ特徴や費用が異なります。くわしく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
納骨堂の種類は5つ|特徴・費用相場・選び方をわかりやすく解説納骨堂のお参りと一般墓のお参りの違い
納骨堂でのお参りと従来のお墓参り(一般墓のお参り)には、以下の5つの点で違いがあります。
① お参りの環境:
一般墓は屋外墓地にありますが、納骨堂は屋内施設です。そのため雨や雪の日でも、猛暑や極寒の日でも快適にお参りできます。
② お墓掃除:
一般墓のお参りでは、墓石を掃除したり、区画の草取りを行ったりしますが、納骨堂では、施設のスタッフや業者が清掃を行います。
③ 火気の使用:
一般墓では線香やローソクを自由に使えますが、多くの納骨堂では火災防止の観点で使用が禁止されています。電子線香(電気式線香)や電子ローソク(LEDローソク)が設置されている施設もあります。
④ お供え物:
一般墓では、お花やお菓子などのお供え物をそのまま置いて帰れる墓地もありますが、ほとんどの納骨堂ではお供え物は持ち帰るルールになっています。これは衛生面や他の利用者への配慮のためです。
⑤ お参りの時間:
屋外墓地では24時間いつでもお参り可能な場合もありますが、納骨堂には開館・閉館時間があります。多くは朝9時頃から夕方17時頃までの時間帯で、夜間や早朝は入館できません。
具体的なお参りの方法(納骨堂の種類別)
納骨堂は種類によってお参りの仕方が異なります。以下にそれぞれ解説します。
ロッカー式納骨堂
ロッカー式は、コインロッカーのように並んだ個別区画に遺骨を納めるタイプです。
ロッカーの前ではなく、別室の礼拝スペースのご本尊に手を合わせるのが一般的です。ロッカーの前で合掌できる施設もありますが、上下左右のロッカーには他の方の遺骨が隣り合わせで安置されているため、周囲への配慮が必要です。
お供え物をロッカー内の空間や手前の棚に置ける場合もありますが、ほとんどの納骨堂では参拝終了後に持ち帰るルールになっています。
自動搬送式納骨堂
自動搬送式は、ICカードをかざすと、骨壺が参拝ブースまで自動搬送されて来る仕組みになっています。
参拝ブースは周りと区切られたプライベートな空間になっており、ゆっくりお参りできます。電子線香が設置されている施設もあります。
なお、参拝ブースは他の利用者と交代で利用する共用スペースなので、お供え物や位牌を置いたまま帰ることはできません。
仏壇式納骨堂
仏壇式納骨堂は上下二段の構造になっており、上段に仏壇を、下段に骨壺を納める形式の納骨堂です。
お参りの際は、お花やお線香を仏壇にお供えし、おりんが設置されていれば、軽く鳴らしてから手を合わせます。位牌を置いてお参りすることもできます。
位牌式納骨堂
位牌式(合祀型)は、位牌壇に故人の位牌を安置し、遺骨は別の場所(合祀墓、合祀塔など)に収蔵されているタイプです。参拝は故人の位牌、またはご本尊に向かって行います。
墓石式(室内墓所)納骨堂
墓石式は、屋内に小型の墓石が一区画ずつ整然と並ぶ形式です。一般的な屋外墓地のお墓のように、故人の墓石の正面に立って手を合わせることができます。
納骨堂にお参りする際の準備(確認事項)
以下に納骨堂にお参りする前の確認事項をご紹介します。特に初めてお参りする際はしっかりチェックしておきましょう。
お参りする前の確認事項:
▢ 納骨堂の所在地・建物名
▢ 最寄り駅からの道順(雨天時や車イスのバリアフリー動線も確認)
▢ 休館日
▢ 開館・閉館時刻(お彼岸やお盆、年末年始は特別時間帯の場合がある)
▢ 入館方法(ICカードや暗証番号が必要か?受付はあるか?)
▢ ご家族(ご遺族)への事前連絡(友人・知人として参拝する場合)
▢ お供え物の規則(お供え禁止の物を準備しないため)
施設の規則も確認しておくのが理想ですが、不明な点は当日スタッフに質問しましょう。
十分な準備をして納骨堂を訪れることで、心穏やかにお参りすることができます。故人との大切な時間を過ごすためにも、事前確認を心がけましょう。
混雑するお参り時期
一般的なお墓と同様に、納骨堂も「お墓参りシーズン(お彼岸やお盆、年末年始)」は、混雑によって待ち時間が発生する場合があります。一度に複数の家族が参拝できない自動搬送式納骨堂を予約制にする施設もあります。
混雑を避けて、ゆっくりお参りしたい方は、事前に混雑する時間帯や待ち時間の目安を施設に確認しておくとよいでしょう。平日の午前中を選んだり、お彼岸やお盆、年末年始を少しずらすのも有効です。
納骨堂のお参りは基本的に手ぶらでOK(持ち物は不要)
納骨堂のお参りに持参が必須のものはありませんが、強いて挙げるなら以下を持参しましょう。
数珠:しっかりお参りしたい方は持参するとよい
ICカード:自動搬送式納骨堂の場合は必要
お供え物:生花や食べ物(多くの施設では持ち帰りが原則)
お布施:法要の施主としてお参りする際、僧侶に渡す謝礼金
一般的なお墓参りでよく持参する以下のものは、納骨堂のお参りでは持参不要です。
掃除道具:施設側が清掃を行っているため利用者は持参不要
線香・ローソク:多くの施設は火気厳禁で、備え付けの電子線香や電子ローソクを使用する
手ぶらでお参りすることに抵抗を感じるかもしれませんが、故人を想う気持ちがあれば十分です。思い立った時に手ぶらでお参りできることは、納骨堂が多くの方に選ばれている理由の一つでもあります。
納骨堂のお参りでのマナー
納骨堂のお参りの際の「服装のマナー」「会話・騒音のマナー」について以下に解説します。
服装のマナー
特別な決まりはなく、スーツなどの正装を着用する必要もありませんが、清潔感のある落ち着いた色合いの服装でお参りしましょう。黒やグレー、紺などの控えめな色の服を選ぶとよいでしょう。
華美な服装や露出の多い服装は避けましょう。納骨堂は故人を偲ぶ厳粛な場であると同時に、他の参拝者も利用する公共の場です。
故人にも周りの方にも失礼のない服装でお参りすることで、心穏やかな供養の時間を過ごすことができるでしょう。
会話・騒音のマナー
納骨堂は屋内施設であり、周りの方も静かにお参りされているため、声が響きやすくなっています。
会話は必要最小限に抑え、話す際は小声を心がけましょう。また、携帯電話はマナーモードに設定しておきましょう。
扉の開け閉めを静かに行うこと、足音が響かないように歩くといった、周りの方への配慮も大切です。
納骨堂のお参りでの禁止事項
ここでは、多くの納骨堂での禁止事項、制限事項について解説します(最終的には館内掲示・係員の指示にしたがってください)。
火気の使用はNG
多くの施設は、火災防止の観点から線香やローソクの使用を禁じており、代わりに電子線香や電子ローソクを設置してます。指定の場所でのみ線香やローソクを使用できる施設もありますが少数派です。
お供え物に制限アリ
香りの強い花や、匂いのきつい食べ物、栓を開けた飲み物(缶・ペットボトル・酒類)のお供えは禁止されています。また、生花や食べ物をそのまま置いて帰ることはできません。衛生上、お供えしても短時間でお下げして、必ず持ち帰るようにしましょう。
無断撮影はNG
納骨堂では館内の無断撮影は禁止されています。許可を得て撮影する場合でも、ご本尊や他家の区画、他の参拝者が写り込むような撮影は控えましょう。
大声での読経はNG
大声や長時間の読経は禁止されており、読経自体を禁止する施設もあります。お経は心の中で唱えましょう。禁止されていない場合も、ごく小さな声で唱えるのがマナーです。
まとめ
この記事では納骨堂でのお参り方法について解説してきました。また納骨堂の種類別のお参りの仕方や事前準備、マナーや禁止事項についてもご紹介しました。
納骨堂でのお参りに関する疑問や不安が解決したのではないでしょうか。
お墓選びでお悩みの方は、全国の霊園・納骨堂の口コミや費用を比較できる「お墓の口コミ」をぜひご活用ください。
「お墓の口コミ」で霊園を探してみるQ.親族以外の友人が一人でお参りできますか?
A.はい、親族でなくてもお参り可能です。多くの納骨堂は親族以外の参拝を禁止していません。ただし必ずご遺族(ご家族)の了承を事前に得るようにしましょう。
また寺院内の納骨堂であれば、当日受付や住職への挨拶が必要な場合もあります。礼節を持って参拝すれば、友人でも故人に手を合わせることは問題ありません。
Q.お布施は必要?いくら包めばいい?
A.通常のお参りではお布施は不要です。納骨堂へのお墓参りは、単に手を合わせるだけであれば料金等はかかりません。
ただし、納骨法要や合同法要の際にはお布施が必要になるケースがあります。金額は地域や宗派によって異なりますが、目安として納骨式のみなら2~5万円、四十九日など法要と合わせる場合で5~10万円程度が一般的です。個別の状況によりますので、心配な場合は菩提寺や納骨堂の担当者に確認すると良いでしょう。
Q.お参りの頻度や適切なタイミングは?
A.決まりはありません。あなたの気持ち次第です。一般的にはお彼岸やお盆にお参りする人が多いですが、義務ではありません。何より「お参りしたい」「故人に会いたい」という気持ちが大切で、その想いが湧いたときが参拝のベストタイミングです。
もちろん、ご家族と相談の上、節目の命日や年忌法要に合わせて伺うのも良いでしょう。頻度についても、人それぞれです。月命日に毎月訪れる方もいれば、年に一度遠方から足を運ぶ方もいます。あなたやご家族の無理のない範囲で大切に続けていくことが供養につながります。
Q.納骨堂の種類によってお参り方法は違いますか?
A.はい、納骨堂の種類によってお参り方法が異なります。ロッカー式は別室の礼拝スペースでお参りするのが一般的で、自動搬送式はICカードで厨子を呼び出してプライベートブースでお参りします。
仏壇式は上段の仏壇に向かって手を合わせ、位牌式は位牌壇の故人の位牌に向かってお参りします。墓石式は一般的なお墓と同様に墓石の前でお参りできます。初回訪問時は施設スタッフに確認すると安心です。
Q.線香やローソクは使えますか?
A.多くの納骨堂では火災防止の観点から、線香やローソクの使用を禁止しています。代わりに電子線香や電子ローソク(LEDローソク)が設置されている施設が多いです。指定場所のみ線香やローソクを使える施設もありますが少数派です。
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