樹木葬のメリットとデメリット|後悔しないためにやるべきことも解説
最新編集日:2025年07年22日
「自然に還れる樹木葬を検討しているけれど、本当にデメリットはないのだろうか」
そんな不安を感じていませんか?
この記事では、樹木葬を検討中の方向けに「知っておくべきメリットとデメリット」「後悔しないためにやるべきこと」についてわかりやすく解説します。

著者・監修者
株式会社ディライト 代表取締役
葬儀の人材派遣と集客支援の最大手、株式会社ディライトの代表取締役。20歳で葬儀の人材派遣ス...
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編集者
お墓ディレクター2級取得者
東京都出身。計400社以上の墓石、葬儀会社と繋がりを持ち、お墓ディレクター2級を有している...
続きを読む樹木葬の仕組みと種類
樹木葬とは、樹木や草花を墓標として、その周りに遺骨を埋葬する形式のお墓です。自然に還ることを望む方や、故人を自然の中で弔いたい方を中心に、近年人気が高まっています。ここでは樹木葬の仕組みと種類について解説します。
樹木葬の仕組み
樹木葬は一般的なお墓と同様に、墓地埋葬法に基づき、自治体から許可を得た寺院や霊園が運営しています。
多くの樹木葬には永代供養が付いており、寺院や霊園が樹木や遺骨を管理・供養してくれます。そのため利用者の負担が少なく、承継者(お墓の後継ぎ)がいない方でも契約できます。
また、宗旨宗派を問わない霊園が多く、檀家になる必要がない場合がほとんどです。
樹木葬の種類(立地環境別)- 里山型・公園型・庭園型
樹木葬は立地環境によって「里山型」「公園型」「庭園型」の3つに分けられます。
里山型:
都市郊外から離れた山のふもとや丘陵など、自然豊かな環境にある霊園での樹木葬です。「自然に還る」という樹木葬のコンセプトに最も近いタイプです。
公園型(都市近郊):
都市近郊に立地する霊園での樹木葬です。スタッフの手入れにより、年間を通じて明るく清潔な環境が保たれています。
庭園型(都市中心部):
駅から徒歩圏内の霊園の一角に樹木葬の区画が設けられます。草花や芝生、石畳の整然とした景観が特徴で、欧風庭園のような趣を持つタイプは「ガーデン型」とも呼ばれます。
樹木葬の種類(埋葬形式別)- 合祀型・集合型・個別型
樹木葬は遺骨の埋葬形式によって「合祀(ごうし)型」「集合型」「個別型」の3種類に分類されます。
合祀型:
骨壷から取り出した複数の方の遺骨を、一つの区画にまとめて埋葬する形式です。土中で他の方の遺骨と完全に混じり合うため、遺骨を取り出すことも、故人を識別することもできません。
集合型:
1本の樹木(シンボルツリー)の下の納骨スペース(カロート)に、複数の家族の骨壺が納められる形式です。カロートは他の家族と共用ですが、遺骨は個別の骨壺に入った状態なので、他の方の遺骨と混じり合うことはありません。
個別型:
自分の家族専用のシンボルツリーと専用のカロートが用意される埋葬形式です。もちろん遺骨は骨壺に入ったままカロートに納められます。
樹木葬のメリット6選
樹木葬には、メリットもデメリットもあります。ここでは6つのメリットについて解説します。
メリット① 自然に還れる・自然の中でお参りできる
樹木葬のそもそものメリットは、自然に還りたいという故人の願いを叶えられることです。遺族も自然豊かな環境でお参りができ、四季の変化を感じながら故人を偲ぶことができます。
当サイトの調査でも、
17.4%の方が樹木葬を選んだ理由について「自然に還る形が魅力的」と回答しておられます。
メリット② 一般的なお墓より費用を大幅に抑えられる
一般的なお墓は墓石代だけで
100万円以上かかることが珍しくありません。いっぽうで樹木葬は墓石が不要なので初期費用を大幅に抑えることができます。
当サイトが実施した調査では、「初期費用は
60万円以下だった」と回答された方が
7割という結果でした(10万円未満:
12%、10~30万円>:
27%、30~60万円:
32%)。
メリット③ 草取りや樹木の手入れを自分でしなくてよい
樹木葬では、区画内や周辺に生える雑草を抜いたり、樹木の枝を切ったりといった作業は、霊園が行います。 これらの作業にかかる費用は、永代供養料に含まれているため、後から追加で支払う必要はありません。
メリット④ 承継者がいなくても契約できる
樹木葬は承継者(お墓の後継ぎ)がいない方でも契約できます。
当サイトの調査でも、
19.2%の方が樹木葬を選んだ理由の一つは「継承者の心配をしなくてよいこと」だったと回答されました。
樹木葬は、独身の方や子どもがいないご夫婦だけが選ぶ供養方法ではありません。子どもが遠方に住んでいて「代々のお墓を管理できそうにない」というご夫婦も選択肢にもなります。
メリット⑤ 生前契約(生前予約)できる
樹木葬は生前予約が可能なので、自分の希望に合う霊園をじっくり検討することできます。
自分が健康なうちにお墓を決めることで、心の安定も得られるでしょう。万が一のときも、家族が慌ててお墓を探す必要がなくなります。
費用も生前に支払っておけば遺族の経済的負担も軽減できます。
関連記事:
樹木葬は生前予約できます|メリット・デメリット・手順を徹底解説メリット⑥ 宗教や宗派を問わず契約できる
樹木葬は宗教や宗派を問わず利用できる霊園が多く、仏教徒でない方や無宗教の方も契約できます。また、寺院が運営する樹木葬霊園でも、檀家になることを求められないケースがほとんどです。
樹木葬のデメリット7選
ここでは樹木葬の主なデメリットを7つご紹介します。また、デメリットを回避する方法についても解説します。
当サイトが実施したアンケートでは、樹木葬を契約した後で「何らかの想定外のことがあった」と答えた方は
83.2%に上っており、事前の情報収集がいかに重要かがわかります。
デメリット① 遺骨を取り出せなくなる場合がある
樹木葬では一度埋葬した遺骨を取り出せない場合があります。
● 合祀型:最初から他の方の遺骨と混じり合うため、遺骨は取り出せない
● 集合型・個別型:多くの場合、一定期間(13回忌や33回忌など)を過ぎると合祀されるため、遺骨は取り出せない
他の方の遺骨と混じるのを避けたい方や、将来遺骨を移す可能性がある方は合祀型ではなく、集合型か個別型を選択しましょう。そして、集合型・個別型でも合祀される時期を延長できる霊園を選びましょう。
デメリット② 埋葬できる遺骨の数に限りがある
多くの樹木葬では、以下のように埋葬できる遺骨の数に限りがあります。
● 集合型:2~4体の霊園が多い
● 個別型:6体前後までの霊園が多い
樹木葬を希望される方は、契約前に遺骨の収蔵可能数を必ず確認しましょう。
樹木葬はご夫婦2人だけが眠るには十分ですが、子どもが多い方や、孫の代までの供養を希望される方は、一般的なお墓や遺骨の収蔵数が多い納骨堂も検討することをおすすめします。
デメリット③ アクセスが不便な霊園もある
特に里山型は、都市郊外から離れた山のふもとや丘陵などにあることが多く、お参りが大変な場合もあります。送迎バスの有無や運行頻度、駐車場の有無などを事前に確認しておきましょう。
デメリット④ 景観の変化・樹木の生育不良があり得る
樹木葬では季節による景観の変化があります。春夏は緑が美しくても、秋冬には落葉して寂しい印象になる霊園もあります。
また、日照不足や台風などの天候不順、害虫被害などにより、樹木の育成が遅れたり、枯れてしまうケースもあります。
当サイトの調査でも、樹木葬利用者の
29.7%が「埋葬のシンボルとなる樹木が枯れてしまった」と回答しています。
契約前に季節ごとの写真を見せてもらい、樹木が枯れた場合の対応についても確認しておきましょう。
デメリット⑤ 夫婦で意見が食い違う場合がある
夫婦で樹木葬を検討している際に、価値観の違いで意見が分かれることがあります。
よくある意見の食い違いは「夫:先祖代々のお墓を大切にしたい」「妻:管理の負担を減らしたい」というパターンです。逆に「妻:墓石がないのは寂しい」「夫:自然に還る樹木葬がよい」場合もあります。
話し合いの結果、樹木葬をやめて従来のお墓を選ぶという結論になることもあるでしょう。大切なのは、夫婦がお互いに納得できる選択をすることです。
デメリット⑥ 線香やローソク、お供え物に制限がある
ほとんどの樹木葬では、火災防止の観点から、お線香やローソクの使用が禁止されています。また食べ物のお供え物は、野生動物を呼び寄せたり腐敗の問題があるため、持ち帰りする決まりになっています。
樹木葬では線香やお供えはできませんが、大自然の中で故人にそっと手を合わせることは、形式にとらわれない真心からの供養と言えるかもしれません。
デメリット⑦ 思ったより費用がかかったという意見もある
当サイトの調査では、
23.9%の方が「思ったより費用がかかった」と回答されています。しかしこれは、デメリットというより「確認不足による誤解」と言えるかもしれません。
ほとんどの霊園は、以下の項目を丁寧にわかりやすくパンフレットに記載しています。
● 初期費用:永代供養料・納骨料・標準のプレート費用・事務手数料など
● オプション費用:特殊なプレート費用、追加納骨料、ペット共葬費、個別法要の費用など
● 年間管理費
「初期費用には何が含まれているのか」「どこからが追加料金になるのか」をしっかり確認しておくことが大切です。
見学時には、希望をきちんと伝えた上で料金を確認し、できれば見積書を発行してもらうと安心できるでしょう。
関連記事:
樹木葬の費用相場はいくら?内訳・安く抑える方法・よくある失敗を解説 霊園選びで後悔しないためにやるべきこと
ここまで樹木葬のメリットとデメリットについて説明しました。ここでは樹木葬の霊園選びで後悔しないためにやるべきことについて解説します。
やるべきことは以下の3つです。
1. 家族としっかり話し合う
2. 埋葬形式を決める
3. 現地見学で疑問点を解消する
以下に、それぞれ解説します。
家族としっかり話し合う
樹木葬の霊園選びで後悔しないためにやるべきことの1つ目は「家族としっかりと話し合うこと」です。
樹木葬は新しい供養の形式なので、従来のお墓に慣れ親しんでいる方(特にご年配の方)から反対されるケースが少なくありません。主な反対理由は以下の3つです。
1. 手を合わせる墓石がないため、供養の実感が得にくい
2. 先祖代々のお墓に入るべきだという価値観
3. 他人の遺骨と一緒に埋葬されることへの抵抗感
家族から反対意見が出た場合は、「なぜ樹木葬を希望するのか」をしっかりと伝えましょう。その上で、樹木葬のメリットを丁寧に説明することで、理解を得られるかもしれません。一緒に見学に出向くのも効果的です。
埋葬の詳細、合祀までの年数を確認する
霊園選びで失敗しないためにやるべきことの2つ目は「遺骨がどのように埋葬されるか」「何年先に合祀されるか」を確認することです。
埋葬の詳細の確認
まずは
「他の人の遺骨と混じるのか? / 混じらないか?(個別保管か)」を確認しましょう。
関連記事:
樹木葬で遺骨はどうなる?埋葬方法とメリット・デメリットを徹底解説
合祀型では、遺骨は骨壺から取り出され、共同区画の土中に埋葬されます。そのため
土中で他の方の遺骨と完全に混じり合います。
集合型・個別型では、遺骨は骨壺に入れて個別に保管されるため、
他の方の遺骨と混じりません。ただし、区画が個別になっていても、最初から粉骨して合祀する霊園もあります。契約する前に以下の質問をして、実際にどのように埋葬されるかを必ず確認しましょう。
● 遺骨は骨壺のまま保管されますか?
● 他の方の遺骨と混じり合うのですか?合祀までの年数(個別保管期間)の確認
集合型や個別型でも、一定の個別保管期間(13回忌や33回忌まで等)を過ぎると、遺骨は合祀され、他の方と混じってしまいます。契約前に個別保管期間を正確に把握しておきましょう。
「合祀されるのは嫌」「個別保管を続けてほしい」という方は以下の4パターンのいずれかを選択することになります。
1. 個別保管期間の延長を申請する(延長してくれる霊園は少数)
2. 新しい区画を契約する
3. 遺骨を引き取り、他のお墓や納骨堂に移す(改葬)
4. 遺骨を引き取り、自宅で供養する(手元供養)
個別保管期間が終わるのは10年先、30年先になりますが「その後は遺骨をどうするか?」家族・親族でいったん決めて、エンディングノートに記録しておきましょう。
現地見学で疑問を解消する
3つ目にやるべきことは現地見学です。見学の前日までにパンフレットを読んで不明な点をリストアップしておくことが重要です。
特にこの記事で紹介したデメリットに関連することは、霊園スタッフにしっかり質問しましょう。
樹木葬のデメリットに関係する質問事項:
☐ 遺骨がどのように埋葬・保管されるか
☐ 遺骨は何体まで埋葬できるか
☐ 最寄り駅からのアクセス・駐車場の有無
☐ 樹木の生育状況・管理状況
☐ 初期費用、オプション費用、管理費の内訳
現地見学で大切なのは、『ここなら故人が安らかに眠れそう』『家族が気持ちよくお参りに来られそう』と心から思えるかどうかです。後悔のない選択をするためにも、ぜひ複数の霊園に足を運び、じっくり比較検討してみてください。
樹木葬の霊園探しと見学予約に「お墓の口コミ」を使ってみるQ.樹木葬でよくあるトラブルには何がありますか?
A.「思ったより費用がかかった」とおっしゃる方がおられます。初期費用に何が含まれ、どこから追加料金になるのかを契約前にしっかり確認しておきましょう。
樹木は生き物なので、病気や台風で枯れてしまうこともあります。霊園によって対応方法が異なるため事前の確認は必須です。
「他の利用者と一緒だから落ち着いてお参りできない」という声がありますが、そもそも合祀型・集合型では区画が共用なので当然のことです。家族だけで静かにお参りしたい方は樹木葬を選びましょう。
Q.樹木葬はどんな人に向いていますか?逆に向かない人は?
A.樹木葬が向いているのは、自然に還ることを望む方や、故人を自然の中で弔いたい方です。承継者がいない方や費用・管理の負担を減らしたい方にも向いています。
先祖代々のお墓に入りたい方や、線香やローソク、お供え物をしたい方には樹木葬は向きません。
他人の遺骨と一緒になりたくない方や、将来遺骨を取り出す可能性がある方も樹木葬を選ぶべきではありません。
Q.樹木葬の初期費用の相場はどれくらいですか?
A.樹木葬の初期費用は埋葬形式によって大きくかわります。合祀型は5~40万円、集合型は20~70万円、個別型は30~120万円が相場です。
一般的なお墓は墓石代だけで100万円以上かかることが珍しくありませんが、樹木葬は墓石が不要なので初期費用を大幅に抑えることができます。
当サイトが実施した調査では、「初期費用は
60万円以下だった」と回答された方が
7割という結果になりました。
Q.樹木葬以外に自然に還れる供養方法(自然葬)はありますか?
A.「散骨」という供養方法があります。散骨は火葬した遺骨を粉末状にして海や山など自然に撒く葬送方法で、海洋散骨、山林散骨、空中散骨などの種類があります。
散骨するとお参りする場所はなくなってしまいます。樹木葬なら霊園という場所があるので、いつでもお参りに行くことができ、お寺や霊園が代わりに供養もしてくれます。
Q.ペットと一緒に眠れる樹木葬はありますか?
A.多くの霊園の樹木葬は人のみの埋葬で、ペットと一緒に眠れる樹木葬のプランを用意している霊園は限られています。
また、パンフレットに「ペット共葬できます」と書かれていても、人間用の区画とペット用の区画が離れているケース(実際は一緒に眠れないケース)もあるため、かなりしっかり確認する必要があります。
まとめ
樹木葬にはデメリットもありますが、事前の準備と確認で防げるものがほとんどです。最も重要なのは、樹木葬がどんな供養方法なのかを正しく理解することです。
家族や親族としっかり話し合い、現地見学で実際の雰囲気を確認してください。費用の内訳や樹木の管理方法、埋葬の詳細についても契約前に必ず確認しましょう。
自然に還ることを望む方にとって、樹木葬は魅力的な選択肢です。この記事のポイントを参考に、後悔のない供養方法を選んでください。
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