地震が起きた時、被災地での葬儀はどうする?火葬までの流れや補助金などについて解説

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この記事はこんな人におすすめ

  • 地震が起きた時の葬儀はどうすればいいのか悩んでいる方

  • 災害時の仮埋葬から火葬までの流れや注意点を知りたい方

  • 災害時における葬儀費用の補助金や公的支援について知りたい方

災害時に葬儀を行うことは、通常の状況以上に難しく、多くの方が「どうすれば良いのかわからない」と感じるものです。

火葬場が使えない場合や仮埋葬を選ばざるを得ない状況、さらには遺族としての精神的負担に直面することも少なくありません。

この記事では、

・地震が起きた時の葬儀について
・仮埋葬から火葬までの流れや注意点
・災害時における葬儀費用の補助金や公的支援
・災害時における葬儀社の役割

などについて詳しく解説しています。

この記事を読むことで、困難な状況に直面した際にも、最善の方法で故人を弔うための知識と安心を得られます。

あなたやご家族の負担を少しでも軽減するために、ぜひ最後までお読みください。

【編集者】
計400社以上の墓石、葬儀会社と繋がりを持ち、お墓ディレクター2級を有している「竹田 勇飛(たけだ ゆうひ)」が解説します!

お墓の口コミ監修者:株式会社ディライト 代表取締役 高橋亮
著者・監修者
株式会社ディライト 代表取締役
高橋 亮

葬儀の人材派遣と集客支援の最大手、株式会社ディライトの代表取締役。20歳で葬儀の人材派遣スタッフとして働き始め、独立。以降約20年間、葬儀、お墓業界の「人の困った」と「集客の困った」を解消し続けている。

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お墓の口コミ編集者:お墓ディレクター2級 竹田勇飛
編集者
お墓ディレクター2級
竹田 勇飛

東京都出身。計400社以上の墓石、葬儀会社と繋がりを持ち、お墓ディレクター2級を有している。消費者に有益な情報を届けたいという想いから、現在「お墓の口コミ」を運営している。

竹田勇飛のプロフィール
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地震が起きたときの葬儀はどうする?

喪服を着た悩む女性

地震などの大規模災害が発生すると、通常の葬儀を行うことが難しくなります。

被災地では、火葬場の被害や交通網の寸断により、遺体の搬送や火葬が困難になるケースが多いです。

そのため、仮埋葬や土葬といった一時的な措置が取られることがあります。

仮埋葬とは、火葬が可能になるまでの間、一時的に遺体を土の中に埋葬し、再び掘り起こす方法です。

しかし、これらの方法には衛生面や法律上の注意点が伴います。

また、遺族の精神的負担も大きくなるため、事前に災害時の葬儀に関する知識を持っておくことが重要です。

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東日本大震災の際の葬儀と火葬

2011年の東日本大震災では、多くの遺体が発生しましたが、葬儀もできず、火葬場の機能が麻痺する事態となりました。

このとき、金沢市や小松市などの被災地から離れた地域の自治体が連携し、「広域火葬」を実施しました。

また、仮埋葬を行った地域もあり、後に改葬を実施するなど、状況に応じた柔軟な対応が取られました。

これらの事例から、災害時には地域間の連携や柔軟な対応が重要であることがわかります。

被災地での遺体安置や火葬の対応は、遺族の心情に深く関わる重要な問題です。

適切な情報と準備を持ち、万が一の際にも冷静に対応できるよう心掛けましょう。

広域火葬とは?

広域火葬とは、被災地外の火葬場を利用して遺体を火葬する方法です。

被災地の自治体は、近隣地域の火葬場と連携し、遺体の受け入れを調整し、冷蔵車やトラックなど、適切な手段で遺体を搬送します。

遺族は火葬場に同行するか、後日遺骨を受け取る形になります。

遺体搬送には専門の業者が関与するため、自治体や葬儀社と連絡を取りましょう。

被災地での遺体安置所の選び方と注意点

被災地で遺体を安置する際は、衛生面を考慮し、清潔で風通しの良い場所を選び、遺族が故人と対面できるようプライバシーが確保された空間が望ましいです。

また、遺体の腐敗を防ぐため、冷却設備が整っている場所が理想的ですが、被災状況によっては難しい場合もあります。

その際は、ドライアイスなどで遺体を冷やす工夫が必要です。

加えて、遺体の身元確認や引き渡しの手続きが円滑に行えるよう、行政機関や医療機関と連携を取ることも大切です。

土葬は地域の風習や宗教的背景によっては受け入れられる場合がありますが、法律や衛生面での制約があるため、事前に自治体の指導を仰ぐことが必要です。

仮埋葬から火葬までの流れと注意点

合掌する男女

仮埋葬を行う際の流れ

仮埋葬とは、遺体を一時的に土の中に埋葬し、後日正式な火葬や埋葬を行う方法で、災害時に火葬場が利用できない場合などに選択されます。

流れは以下のとおりです。
①場所の選定
衛生面を考慮し、生活圏から離れた場所が望ましいです。水はけの良い場所を選び、雨水による浸食や水害の影響を避けます。

②遺体の防腐処理
防腐剤やドライアイスを使用して腐敗を遅らせます。

③遺体を納める
深さ1.5メートル以上の穴を掘り、遺体を納めます。

注意点

・埋葬地の使用には自治体の許可が必要な場合があります。災害時は自治体の指示に従いましょう。

・埋葬後は、後日再埋葬や火葬ができるよう、埋葬場所を必ず明確に記録しておきましょう。

仮埋葬後の火葬

災害時にやむを得ず仮埋葬を行った後、状況が落ち着いた際に火葬を行います。

この際、適切な手続きの流れと注意点を理解しておくことが重要です。

仮埋葬後の流れは以下のとおりです。
①改葬許可申請
まず、現在の埋葬地の自治体で「改葬許可証」を取得します。これは、遺骨を別の場所に移す際に必要な公式文書です。申請には、現在の墓地の管理者からの「埋葬証明書」や、新たな埋葬先の受け入れ証明が求められることがあります。

②遺骨の掘り起こし
許可を得た後、専門家の立ち会いのもとで遺骨を掘り起こします。遺骨の状態によっては、再火葬が必要となる場合があります。特に、土葬された遺骨は湿気を含んでいることが多く、再火葬によって乾燥させることで、適切な納骨や散骨が可能となります。

③火葬の実施
火葬を行う場合、火葬場の予約や手続きが必要です。火葬には「火葬許可証」が必要となることがあります。事前に火葬場や自治体に確認し、必要な書類を準備しましょう。

④新たな埋葬先への納骨
再火葬後、遺骨を新たな墓地や納骨堂などに納めます。この際、新たな埋葬先の管理者と連絡を取り、受け入れの手続きを進めます。

注意点

・法令遵守
各自治体によって手続きや必要書類が異なる場合があります。事前に関係機関に確認し、適切な手続きを踏むことが重要です。

・遺族の意向
再埋葬や火葬の方法については、遺族間で十分に話し合い、全員の意向を尊重することが大切です。

・専門家の協力
遺骨の掘り起こしや火葬は専門的な知識と技術を要します。専門家や業者の協力を得ることで、円滑に進めることができます。

災害時における葬儀費用の補助金や公的支援

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災害時には、葬儀費用の負担を軽減するため、自治体や公的機関から補助金が提供されることがあります。

【補助金の例】
・災害救助法に基づく支援
災害救助法が適用される地域では、自治体が葬儀費用の一部を補助する場合があります。支給額は自治体ごとに異なり、10万円前後が一般的です。

・社会福祉協議会の貸付制度
一部の地域では、災害時に葬儀費用のための貸付を行う制度があります。無利子または低利子で利用できることが多いです。

・厚生労働省の支援金
国が提供する災害関連支援金で、葬儀費用の補助に充てられる場合があります。

【申請手続き】
・必要書類
身元確認書類、故人の死亡証明書、葬儀費用の領収書などが必要です。

・申請窓口
地元の自治体や災害対策本部、社会福祉協議会が主な窓口となります。

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災害時における葬儀社の役割

地震などの災害時、葬儀社は遺体の保全や搬送、仮埋葬の実施など、多岐にわたる役割を担います。

全日本葬祭業協同組合連合会(全葬連)は、各地方自治体との災害協定を締結し、大規模災害・事故が発生した場合、専門家としての技術と知識を活かし支援活動を行っています。

現在、47都道府県181市70町村15東京都特別区(令和6年12月時点)と締結しています。

ここからは、葬儀社の具体的な役割と、行政や専門機関との連携方法について詳しく解説します。

葬儀社の具体的な役割

・遺体の保全と搬送
被災地で発見された遺体を適切に保全し、指定の安置所や火葬場まで安全に搬送します。

・仮埋葬の実施
火葬場が利用できない場合、遺体の腐敗を防ぐため、一時的な仮埋葬を行います。

・遺族へのサポート
遺族の精神的負担を軽減するため、葬儀の手配や相談対応を行います。

・物資の提供
棺やドライアイス、納体袋など、行政や専門機関と連携して必要な物資を迅速に供給します。

行政や専門機関との連携方法

葬儀社は、行政や専門機関と密接に連携し、円滑に支援活動を進めることができます。

・災害協定の締結
全葬連は、各地方自治体と災害協定を結び、緊急時の支援体制を整備しています。これにより、迅速な対応が可能となります。

・情報共有
被災状況や必要な支援内容を行政と共有し、適切な対応を協議します。

・訓練の実施
普段から防災訓練や研修を行い、災害時の連携体制を強化しています。

・専門家との協力
医療機関や警察と連携し、遺体の身元確認や法的手続きをサポートします。

東京都広域火葬実施計画とは?

東京都広域火葬実施計画は、大規模災害時に多数の犠牲者が発生し、被災地内での火葬が困難な場合に、周辺自治体や他県の協力を得て円滑に火葬を行うための計画です。

この計画は、1995年の阪神・淡路大震災での経験を踏まえ、東京都が1999年に策定しました。

その後、2013年に最終改定が行われています。

この計画の主な目的は、災害時における遺体の迅速かつ適切な処理を確保し、衛生面や遺族の精神的負担を軽減することです。

具体的には、以下の点が含まれます。
・広域的な火葬体制の構築
被災地内での火葬が困難な場合、都内および近隣県の火葬場と連携し、遺体の受け入れや火葬を実施します。

・遺体搬送の手配
遺体の搬送手段や必要な資材(棺、ドライアイスなど)の確保、安置所の設置、連絡体制の整備などを事前に計画します。

・関係機関との連携
自治体間や関係団体との協力体制を構築し、円滑な火葬業務の遂行を目指します。


この計画により、東京都は災害時における迅速な対応が可能となり、2011年の東日本大震災では、被災地から都内の火葬場まで遺体を搬送し、579体の火葬協力を行いました。

また、近年の新型コロナウイルス感染症の流行に際しても、この計画が参考にされ、感染患者の死亡者増加に対応するための広域火葬体制の整備が求められました。

このように、東京都広域火葬実施計画は、災害時や非常時における遺体処理の円滑化と、都民の安心・安全の確保に寄与する重要な計画です。

よくある質問

被災地で葬式を行う際、どのような選択肢がありますか?

被災地で葬式を行う場合、通常の葬儀が困難なため、簡易葬儀や仮埋葬、広域火葬などの選択肢があります。

・簡易葬儀
火葬のみを行う直葬や、家族だけの短いお別れの場を設ける形式が一般的です。
・仮埋葬
遺体を一時的に埋葬し、後日改葬や火葬を行う方法です。場所は自治体が指定することが多いです。
・広域火葬
東京都広域火葬実施計画など、他地域の火葬場を利用して遺体を火葬する場合もあります。

被災地では、自治体や葬儀社と相談し、状況に合った方法を選択することが大切です。

地震が発生後、葬儀を行うためにまず何をすればよいですか?

地震が発生した直後は、通常の葬儀を行うことが難しい場合があります。

そのため、以下の手順で対応を進めることが大切です。

①涼しく風通しの良い場所に遺体を安置します。ドライアイスや防腐剤を使い、腐敗を遅らせましょう。
②地元の自治体や災害対策本部に相談し、指定の安置所や仮埋葬地の案内を受けます。
③家族でのお別れや直葬(火葬のみ)など、簡略化された形式の葬儀を検討します。

まとめ

災害時には、通常の葬儀が難しい状況が多く発生します。

火葬場が利用できない場合や多くの遺体が発生した際には、自治体や葬儀社、地域の支援を活用しながら、柔軟に対応することが求められます。

今回の記事では、

・地震が起きた時の葬儀について
・仮埋葬から火葬までの流れや注意点
・災害時における葬儀費用の補助金や公的支援
・災害時における葬儀社の役割

などについて詳しく解説しました。

故人を敬いながら、遺族が無理のない形で葬儀を進められることが最も重要です。

この記事が、災害時の判断や対応の一助となれば幸いです。

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