墓じまいの落とし穴?改葬許可申請と改葬許可証の全体を解説!

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近年増加の一途を辿る墓じまい。2003年度には68,579件、2009年度は72,050件、2011年度には76,662件、2018年度は115,384件、2022年度では151,076件と20年間で2倍以上の件数となっています。

また、団塊の世代のご逝去のピークと言われる2025年から2045年に墓じまいもピークを迎えるとの予測もされています。
そんな墓じまいに役所手続きが必要なことはご存知でしょうか。

「やっと墓じまいに対して親族の意見がまとまったのに、役所手続きがあるなんて知らなくて…」そんなお客様の声も挙がっています。

今回は墓じまいに必要な役所手続きである改葬許可申請と申請が完了したことを証明し、新規の納骨先に提出する改葬許可証について解説をさせていただきます。

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改葬と墓じまいの役所手続き【改葬許可証】

ご遺骨を現在の納骨先から別の場所に移すことを法律用語として『改葬』と言います。

民間用語としては『墓じまい』とも言われていますが、墓地、埋葬等に関する法律には改めて葬るという意味で『改葬』と定義されています。

『墓じまい』は民間用語であり、法律上の正式な用語ではありません。

以下に改葬、墓じまいを行う際のパターン、法律上の解釈を解説致します。

改葬・墓じまいのパターン

改葬・墓じまいをする際には第一にお骨の行き先を決定する必要があります。

お骨の行き先が決まっていない場合、改葬許可申請が行えず、改葬許可証を得ることが出来ませんのでご注意ください。

① 墓石は撤去してお骨を新しい納骨先に引越しする場合
② 墓石とお骨を別の墓地に引越しする場合
③ 別の場所にあるお墓2つ以上をひとつにまとめる場合
④ 最終的な供養を行い同じ敷地内の合祀墓や永代供養墓に移す場合
⑤ 今あるお墓を撤去して散骨をする場合
⑥ 今あるお墓を撤去して手元供養をする場合

などの場合を『改葬』と言い、『墓じまい』も同じことが言えます。

上記④にもある通り、厳密に言うと、墓石を撤去し、同じ墓地内にある合祀墓や永代供養墓に移す場合にも改葬許可申請が必要なので注意が必要です。

墓地管理者様の中では割愛している場合もありますが、法令遵守の観点からすると改葬許可申請を行う必要があります。

また、上記④のみを指して墓じまいと言われる方もいらっしゃいますが、実際には墓じまい先を他所の樹木葬墓地や永代供養墓、合祀墓にするケースも多くございます。

墓地、埋葬等に関する法律について

『改葬』『墓じまい』を行うには、市区町村長の許可が必要です。
「墓地、埋葬等に関する法律」第5条1項の規定により、「改葬を行うには市町村長の許可が必要である。」と定められています。

また、「墓地、埋葬等に関する法律」第14条の規定により、墓地や納骨堂の管理者(例としては、お寺のご住職や、霊園や納骨堂の管理者です。)は、改葬許可証を受理した後でなければご納骨を出来ないと定められています。

このように、改葬許可申請は法律により定められており、無許可で改葬を行うと、墓地の所有者も、墓地の管理者も刑罰の対象となるので注意が必要です。(「墓地、埋葬等に関する法律」第21条第1号)

以下に、墓地、埋葬等に関する法律を抜粋しました。
「墓地、埋葬等に関する法律」第5条第1項(抜粋)⇩
改葬を行おうとする者は、厚生労働省令で定められるところにより、市町村長(特別区の区長を含む。)の許可を受けなければならない。

「墓地、埋葬等に関する法律」第14条(抜粋)⇩
1項 墓地の管理者は、第8条の規定による改葬許可証を受理した後でなければ、埋葬または焼骨の埋蔵をさせてはいけない。
2項 納骨堂の管理者は、第8条の規定による改葬許可証を受理した後でなければ、焼骨を収蔵してはならない。

このように、改葬許可証を取得するためには改葬許可申請という役所手続きが必要になります。

以下にその手続きについて解説をさせて頂きます。

改葬許可申請とは

改葬(墓じまい)をする場合、現在お墓のある市区町村で改葬許可申請という行政手続きが必要になります。

改葬許可申請を行うのは、お住まいやお骨の移転先の市区町村ではなく、既存の納骨先がある市区町村の役所で行うため、既存墓地がある市区町村によっては、数回、既存納骨先のある市区町村の役所へ伺う必要があります。

以下に注意点をおまとめしました。

改葬許可申請書の取得方法

近年ではホームページにてダウンロードや、郵送にて改葬許可申請書を送って頂ける市区町村も増えていますが、直接担当課まで書類を取りに行かなくてはならない市区町村も未だに存在します。

そのためもあって委任状を作成し、専門士業や提携をしている改葬の専門家にご依頼をされる方が急激に増えています。

例として、これまでお客様から寄せられた2022年時点でのいくつかの市区町村の特殊な事例をまとめました。

改善をされている市区町村もありますので、詳細はお問い合わせください。

例)千葉県市川市

改葬許可申請の郵送が不可で、すでに遠方に居住していたとしても市川市役所では無く、市川市営霊園まで書類を提出しに来るように指示されます。

改葬許可申請書は市川市ホームページからダウンロード可能です。

例)神奈川県愛川町

改葬許可申請書が複写用紙を使用しているため、役場ホームページから改葬許可申請書のダウンロードが出来ません。

改葬許可申請のご相談をしたタイミングで、墓地所在地に連絡をされることがあり、先に既存墓地のある墓地管理者へ連絡をしておく必要があります。

例)千葉県大多喜町

改葬許可申請書が複写用紙を使用しているため、町役場のホームページから改葬許可申請書のダウンロードが出来ません。

書類の回収や提出に郵送対応は可能です。

例)東京都立川市

改葬許可申請書の既存墓地管理者にご捺印を頂く場所が不明瞭です。

市のホームページから改葬許可申請書のダウンロードが出来ないため、市役所へ改葬許可申請書を回収しにいく必要があります。改葬にも使用する委任状のみホームページ上でダウンロードが可能です。

事前に立川市役所へお電話をし、必要書類をヒアリングしても、当日に新しい書類の提出を求められることがあるので注意が必要です。

新しい納骨先の使用許可証をコピーしたものに捺印とサインが必要だと言われるため、改葬許可申請の際には印鑑を持参することをおすすめ致します。

改葬許可申請書と添付書類について郵送は不可のため、直接担当課へ伺う必要があります。

例)静岡県河津町

改葬許可申請書が複写用紙のため、ホームページ上でダウンロードができません。書類は郵送でやり取りが可能です。

改葬許可申請の際に現在の墓地使用者の本籍が載っていて、納骨されている故人様との関係性がわかる戸籍謄本を改葬許可申請書の添付書類として提出する必要があります。

以上がお客様から寄せられた改葬許可申請に関するお声のまとめの一部です。

慣れない役所手続きですが、更に市区町村によって必要書類や改葬許可申請書の形式が違うため、ご苦労をされているお客様が多くいらっしゃいます。

記載する内容

改葬許可申請の形式は市区町村によって異なります。

理由は、土地ごとの風習や納骨するタイミングの違い、主な墓地管理者の違い、等が挙げられます。

そのため、全国共通で使用できる様式がありません。ですが、その多くに共通する項目はありますのでご紹介させて頂きます。

・死亡者の本籍
・死亡者の亡くなった際の住所
・死亡年月日
・埋葬、火葬した場所
・既存墓地の名称と住所
・死亡者の氏名
・新規納骨先の名称と住所
・申請者名
・申請者の住所と電話番号
・埋葬、火葬、収蔵した年月日
・申請者と墓地使用者の続柄
・申請者と死亡者の続柄
・改葬許可を申請する理由
・このご遺骨が確かに納骨されていることの証明(墓地管理者記入)

以上のようになっており、これらのことを記入する必要があります。

記入する枚数

改葬許可申請はお墓ではなく、お骨に対して行います。

そのため、改葬許可申請書はお骨1体に対して1枚書く形式になっている市区町村が多数です。

市区町村によっては既存墓地所在地など重複する内容をまとめ、故人様ごとに別紙にまとめて記入する形式を採っている場合もあります。

墓地管理者の印を貰う

改葬許可申請書には、墓地管理者に「たしかに申請するお骨はこの墓地に納骨されている」ことを証明する記名捺印をする項目があります。

しかし、一部の墓地管理者はこの捺印を誤って認識し、「自分の捺印で改葬を許可する」とお考えになっている場合があります。

トラブルになるケースはこの場合が多く、行政からの指導や専門家、専門士業の委任で解決することをおすすめします。

また、新規納骨先の選択によっては改宗(信仰する宗教や宗派を変更すること)をする必要がある場合もございます。その点もご注意の上、新規納骨先を選択される必要があります。

改葬許可申請書に添付する書類

市区町村によっては改葬許可申請をする際に提出する添付書類が異なります。

こちらに改葬許可申請を行う際の添付書類の例を挙げさせていただきますのでご参考にしていただけますと幸いです。

・新規納骨先の使用承諾書
・申請者と死亡者の続柄がわかる戸籍謄本(かなりレアケース)
・新規納骨先の受入証明書
・委任状(専門家や専門士業に依頼する場合)

新規納骨先

改葬許可申請を行う際には⑤で触れた新規納骨先の使用承諾書ないしは受入証明書が必要になります。

家と同じく、引っ越し先を記載できる状態にできなければ転居ができないと覚えておくとよろしいでしょう。

新規納骨先に納骨はせず、ご自宅で手元供養される方や、散骨する場合にはその旨を記入する必要があります。

一部の市区町村ですが、散骨する場合には改葬許可申請が不要と言われる場合があります。

その際にはトラブル防止策として散骨業者様、既存墓地の管理者様と改葬許可証が出せないケースであることをよくお話をする必要があります。

改葬許可証の発行

以上の6点を注意し、改葬許可申請が完了すると改葬許可証が発行されます。

市区町村によっては書類作成に関して費用が掛かる場合があります。

非常に煩雑で大変な作業になるため、専門士業や専門家への委任をし、改葬許可申請をスムーズに行う方が増えています。

この改葬許可証とは、新規納骨先へ納骨をする際に新規納骨先の墓地管理者へお渡しする必要があります。

まれに、既存墓地の管理者様が「納骨した際に預かった埋火葬許可証を返すので改葬許可申請はしたくない」と言われることがありますが、ご遺骨の移動がある際には必ず改葬許可申請を行う必要があるため、こちらもご注意ください。

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改葬・墓じまい先の候補

これまでも述べてきた通り、改葬許可を申請する際にはお骨の行き先を決定する必要があります。

以下に今現在存在する納骨先の候補をご紹介いたします。
・直接礼拝型納骨堂
・機械式納骨堂(間接礼拝型)
・納骨堂風永代供養墓
・永代供養墓
・手元供養
・仏壇墓
・宇宙葬
・バルーン葬
・寺院墓地
・公営霊園
・民間霊園
・寺院営霊園
・庭園型樹木葬
・郊外型樹木葬
・海洋散骨
・浄苑
・みなし墓地
・カタコンベ
・共同墓地
・個人所有

以上のように現代では選択肢が非常に多く、新規納骨先の選定にお時間が掛かってしまう方が多くいらっしゃいます。

また、ご自身が転居をされた先でご希望の納骨方法が存在せず、お困りになられている方も多くいらっしゃいます。

ご自身やご家族のご希望と周辺の納骨施設とのギャップにお困りの方も増えています。

どんな方が改葬許可申請を希望するのか

改葬許可申請をご希望される方の例をおまとめしました。

「お墓参りに行くのが大変なので、自宅の近くのお墓に移したい」
「納骨堂に毎年、管理料を払い続けているのが嫌で最終的な供養をして弔い上げをしたい」
「墓地管理を行うお寺と意見の相違や寄付の強制があり、なんだかお骨を人質に取られているような気がする」
「子供に負担を掛けたくない」
「外国で火葬されたお骨を日本国内で納骨してあげたい」
「一族最後のひとりで身寄りがないため、お墓を維持できない」

上記のような様々なご事情でお墓やお骨の引っ越しを検討されている方が増えています。

改葬許可を申請する流れ

改葬許可申請を行い、改葬許可証を得るためには以下のような工程があります。

①新規納骨先のご契約と使用承諾書ないし受入証明書の受け取り
②(代理人に委任する場合)委任状への記入
③既存墓地のある市区町村の役所にて改葬許可申請書を取得
④既存墓地の管理者様に改葬許可申請書に捺印を頂く
⑤その他添付書類の準備
⑥既存墓地のある市区町村役所にて改葬許可申請

以上の行程を経て、墓地を撤去することが出来ます。

魂抜きの法要や撤去業者の選定も必要になりますので専門家や専門士業への委託も是非ご検討ください。

よくある質問

改葬許可証を得るまでにどのくらい時間が掛かる?

改葬許可申請に関する書類の準備から改葬許可証の取得まで、平均で1ヶ月ほど掛かります。

同様のケースであれば専門士業、専門家に依頼すると半分くらいのお時間で改葬許可証発行まで進められることが多いようです。

近年は先述の理由だけでなく、共働きのご家庭が増加していること、老々介護が増えていること、などの影響もあり専門士業や専門家へご依頼をされるお客様が増えています。

故人の死亡時の本籍などが分からない

改葬許可申請では故人様の死亡時の本籍を記入する項目が、多くの市区町村の形式に有ります。

改葬許可申請を行う申請者の血縁者であれば、申請者ご本人の亡くなった方も含めた改正原戸籍などを取得することで故人様の本籍を調べることが可能です。

そうした上でも判明しなかった場合、『不詳』と記入し、改葬許可申請を行うこともあります。

改葬許可申請や改葬許可証の専門家を知らない

改葬許可申請や改葬許可証、墓じまい、改葬に関するご相談やご質問は弊社の改葬・墓じまいご相談にてご対応を頂けます。

ご相談は無料にてお受けしておりますので何なりとお申し付け下さいませ。

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現在お墓があるお寺にお話をして墓じまいに反対された

冒頭にも述べた通り、改葬・墓じまいは年々増加傾向にあり、20年間で倍以上になっています。

事情を現在のお寺様にご説明し、きちんとした手続きをすればご納得いただけるでしょう。

むしろ、親族の中でお墓の管理はしないが移設には反対してくる方が出てきてしまい、お寺様にご説明して頂きご親族が納得していただけるようなケースが近年増えています。

万が一、お寺様から反対をされた場合は、専門士業や専門家へご相談されることをおすすめ致します。

まとめ

いかがだったでしょうか?改葬許可証と改葬許可申請、ならびに申請をする手順や注意点について解説をさせて頂きました。

改葬許可証を取得し、改葬・墓じまいを完了することは大仕事です。

ですが、冒頭にも触れた20年間で2倍以上改葬・墓じまいが増えています。

理由は墓じまいを希望する方が増えていることだけでなく、煩雑な工程を専門家や専門士業に委任することが一般化してきたことが挙げられます。

改葬許可証の取得だけでなく、相談される方の案件について全体の工程表を作成し、全体の費用の概算までご相談に応じて頂けますので是非ご相談ください。

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水上由輝徳

この記事の著者・監修者

NPO法人 終活サポートセンター 理事長

水上由輝徳

NPO法人終活サポートセンターを企業内サークルからNPO法人にし活動14年目。
相談対応件数 50,000件超の実績。
講師派遣回数 300回超。
市区町村との終活のコンソーシアム構築やイベント共催、発展的な地域包括ケアシステムの構築を行い、
終活を生涯学習として捉えたイベント、終活大学を主宰。
都道府県で初めて千葉県が発行したエンディングノートの監修を行った。
2019年より理事長に就任し、24時間365日の相談対応中。
終活関係の企業や石材店、葬儀社のコンサルティングも行う。
改葬・墓じまいの案件や、死後事務委任契約を中心に、終活に関するお悩みをワンストップで解決する。

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参考資料

株式会社ディライト

この記事の著者・監修者

株式会社ディライト

株式会社ディライトは、葬儀業界とお墓業界の「集客の困った」と「人の困った」を解決する会社です。

竹田 勇仁

この記事の編集者

お墓の口コミ編集部

竹田 勇仁

東京都出身。大学を卒業後葬儀社で勤務。
現場経験を経て、消費者に有益な情報を届けたいという想いから、現在「お墓の口コミ」を運営している。

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