最後の法要である弔い上げとは?
「弔い上げ」この言葉に馴染みがない方も多くいると思います。
簡単に言うと
弔い上げとは、長年行ってきた年忌法要を最後にし、締めくくる事とされています。
弔い上げまでに、一般的な法要として四十九日、一周忌、三回忌などの法要を繰り返し行います。この法要は追善供養と言われ、故人の魂に善を積んで極楽浄土へ向かうことができるように行います。
追善供養を行うことで、故人の魂は時間の経過とともに浄化され三十三回忌、五十回忌を迎える頃には完全に清められるとされています。
弔い上げは故人の魂が浄化され、極楽浄土に往生することを祝う儀式なのです。
弔い上げを行うことによってそれ以降は、個別で法要を執り行わないで、先祖の一員として祀られます。
その他に「問上げ(といあげ)」「問い切り(といきり)」「上げ法要(あげほうよう)」とも呼ばれます。
今までの法要よりか重要度が高い
最後の年忌法要なので、これまでの法要より盛大に行うことが多いです。なので一般的に、お寺で行います。
親戚を呼ぶのが一般的
弔い上げは最後の年忌法要なので親族を招き、丁寧に行うことが一般的とされています。
ただし、近年では家族のみで行うケースが増えているのも事実です。
親戚を呼ぶメリット
・親族全員で故人を偲び、思い出を共有できる
・節目の法要で、親族間の交流を深められる
親戚を呼ばないメリット
・案内状の送付、会食や会場準備の負担が少なくなる
・参列者が少ないため、日程調整がしやすい
親戚を「呼ぶ・呼ばない」には、明確な決まりはないのでしっかりと家族、親戚と相談して決めましょう。
服装は喪服で
最後の年忌法要である弔い上げ法要は、特別な意味を持つので、喪服が推奨されます。
平服でも可能とされる場合もありますが、一般的には喪服が望ましいです。
男性の服装
スーツ、ネクタイ、靴下、革靴、すべて黒で統一しましょう。
派手な装飾は控えてください。
女性の服装
ワンピーズやアンサンブルなどのブラックフォーマルにストッキング、靴は黒で統一しましょう。
アクセサリーは真珠のネックレスやイヤリングのみ可能です。
子供の服装
黒や白を基調としたフォーマルな服装にしましょう。
制服がある場合は、制服を着用することが一般的です。
弔い上げを行うタイミング
何回忌に行うかは、宗派によって異なります。
一般的なタイミングと宗派別のタイミングをそれぞれ解説していきます。
通常は三十三回忌
弔い上げは、故人の命日から数えて三十三回忌に行うことが一般的です。
この時期は、故人を供養する期間として一区切りと考えられているためです。
三十三回忌以降は、故人が先祖として守られる存在になるという仏教的な意味合いがあります。
また、年忌法要の節目としても大切な機会です。
年数が経つにつれ、故人を直接知る人が少なくなっていくため、家族全員で故人を想う最後の場として行われます。
最近では、家庭の都合や親族の高齢化を理由に、三十三回忌より前に弔い上げを行うケースも増えています。
各宗派の弔い上げ
一般的には三十三回忌と述べましたが、宗派により若干の違いがあるので詳しく紹介していきます。
真言宗
真言宗は一般的に三十三回忌に行われます。
十七回忌と二十五回忌は行い、二十三回忌と二十七回忌は行わない家族が多いです。弔い上げ後も、五十回忌や百回忌などの遠忌法要を続ける方もいます。
浄土宗
浄土宗は、三十三回忌または五十回忌で行われます。
浄土真宗
浄土真宗は、三十三回忌にすることが多いです。一方で、弔い上げの概念がない場合もあります。
浄土真宗は他の宗派と違い、故人は亡くなってすぐ仏になる「往生即成仏」という教えがあります。そのため、法要は供養ではなく、仏法を聞き学ぶ場として行われます。
日蓮宗
日蓮宗は、故人の成仏を願い続けるという教えがあるので、弔い上げという考えがありません。
そのため、法要を取り仕切る方が亡くなるまで年忌法要を継続して行うことが多いです。
ただし、最近では高齢化や家族形成の変化という理由から、三十三回忌を区切りとするケースも増えています。
曹洞宗・臨済宗
禅宗である曹洞宗と臨済宗は、三十三回忌に行うことが多いです。
曹洞宗は真言宗と似ていて、弔い上げ以降も五十回忌や百回忌を行う場合もあります。
黄檗宗(おうばくしゅう)
黄檗宗は三十三回忌に行うのが一般的ですが、五十回忌の場合もあるようです。
天台宗
天台宗は、三十三回忌が一般的です。
神道
神道は、故人が亡くなってからの満30年の「三十年祭」か、満50年の「五十年祭」が一般的です。
早めに行っても良い?
結論、弔い上げを早めることは可能です。
一般的には三十三回忌または五十回忌に弔い上げをしますが、最近では十三回忌や十七回忌に行う家族が増えています。
もっと早いと、三回忌や七回忌に行うケースもあるようです。
弔い上げを早める主な理由には、以下のような事情があります。
高齢化と負担軽減のため
弔い上げを予定通りに行う場合、家族の中で準備や手配を行える人が少なくなる可能性があります。
親族が高齢化している場合や健康上の理由がある場合、法要を前倒しすることで負担を軽減することができます。
遠方の親族との調整が困難
最近では家族が遠方に住んでいるケースが多く、都合を合わせるのが難しい場合があります。
お盆や年末年始など、親族が集まりやすいタイミングに弔い上げを組み込むことも現実的な解決策です。
早めるうえでの注意点
弔い上げを早めに行うことは、現代の社会的背景を考えると理にかなっています。
ただ早めるにも注意点が必要です。
宗教的な許可を得る
宗派によっては、特定の時期に弔い上げを行うことが推奨されている場合があります。
弔い上げを早める場合は、必ず僧侶に相談し、問題がないことを確認してください。
親族間の合意
法要は家族や親族にとって大切な行事です。
早める際には、必ず事前に全員の合意を得ることが重要です。
早めることで、親族が無理なく参加できる環境を整えることができるため、結果として感謝の気持ちをしっかり伝えることができます。
現代の生活スタイルに合わせた柔軟な選択肢として、弔い上げの前倒しを検討しても良いでしょう。
弔い上げの流れ
1.施主の挨拶
開式の挨拶として、施主が「弔い上げ法要」であることを参列者に伝え、感謝の言葉を述べます。
2.読経と焼香
僧侶が読経を行います。読経を唱えている間に、施主をはじめ、参列者が順番に焼香を行います。
3.お墓参り
法要が終わったら、お墓へ移動して供花や線香を手向けます。お墓の掃除をする場合もあります。
4.会食
お墓詣り後、参列者全員で会食を行います。弔い上げ法要の会食では、野菜や穀物が中心の精進料理ではなく、魚や肉を用いた料理が振舞われることが多いです。
弔い上げ後にすること
弔い上げを済ませたら、その後は年忌法要を行いません。その後に行うことを紹介します。
位牌を片付ける
弔い上げを行うと故人の魂は浄化され、仏さまになるとされています。
そのため、弔い上げ後には、故人の魂が宿っている位牌から魂を抜く「魂抜き」を行う必要があります。
魂抜きは、僧侶に依頼して自宅かお寺で儀式を行います。
魂抜き後の位牌は、お焚火上げをしてもらうか、お寺で処分してもらいましょう。
永代供養を用意する
弔い上げ後は、先祖代々眠っているお墓を利用するか、永代供養付きのお墓、または合祀墓をを利用するなど、複数の選択肢があります。
永代供養とは、年単位で供養代を支払えばお寺や霊園に管理をしてもらえるサービスです。
最近では、少子化が進みお墓の管理が困難なことから、墓じまいをして合祀墓を利用する方が多くなっています。
合祀墓を利用すると、他のお骨と一緒になり後から取り出せない場合がほとんどなので、利用する前にしっかりと考えましょう。
また、最近は永代供養付き一般墓や、個別に永代供養をしてくれるプランもあるので、早めに比較検討することをお勧めします。
よくある質問
何回忌で行うのが一般的ですか?
一般的には三十三回忌で行うことが多いです。
理由として、故人の魂が仏さまになり、他のご先祖様と一緒に祀られる時期にあたるからです。
ただし、宗派や地域の慣習により、十七回忌や五十回忌で行う場合もあります。
最近では、家族や親戚の負担を減らすために、早めに弔い上げを行うケースも増えています。
具体的な時期については、お寺や僧侶に相談し、家族の都合や考え方を尊重して判断しましょう。
弔い上げをしないとダメなの?
結論、行わなくても問題ありません。
行う理由として、仏教の「弔い上げにより故人の魂が極楽浄土へ成仏する」とされている宗教上の考えなので、無宗教の方や弔い上げを必要としていない宗旨宗派であれば、必要ありません。
信仰がある方で、菩提寺との関係性が悪くなってしまうと考える方もいますが、義務ではないので、行わないのであれば相談してみましょう。
ただし、弔い上げは供養を終える節目であり、故人を介して生きる人々が集まる最後の場でもあります。
そのため、早めてでも行う家族が多いです。
まとめ
この記事では
・弔い上げの基本的な意味や目的
・弔い上げのタイミング
・早められるか、行わなくても大丈夫か
・流れや、弔い上げ後にすること
を詳しく解説しました。
弔い上げを行うことは、故人を仏さまとして見送り、家族にとっても気持ちの区切りをつける大切な機会になります。
最近では、簡略化された新しい供養法も増えており、家族や地域の状況にあった方法を選べるようになりました。
この記事を通じて、故人への思いを大切にしながら、無理のない形で弔い上げを行いましょう。
葬儀の人材派遣と集客支援の最大手、株式会社ディライトの代表取締役。20歳で葬儀の人材派遣スタッフとして働き始め、独立。以降約20年間、葬儀、お墓業界の「人の困った」と「集客の困った」を解消し続けている。
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この記事の著者・監修者
株式会社ディライト株式会社ディライトは、葬儀業界とお墓業界の「集客の困った」と「人の困った」を解決する会社です。
この記事の編集者
お墓の口コミ編集部
竹田 勇飛
東京都出身。計400社以上の墓石、葬儀会社と繋がりを持ち、お墓ディレクター2級を有している。
消費者に有益な情報を届けたいという想いから、現在「お墓の口コミ」を運営している。