神道の法事とは?
神道の法事は、故人を神として祀り、家族や子孫の繁栄を願う儀式です。
仏教の法事とは異なり、神道にしかない作法やしきたりがあります。
以下では、神道法事の目的や特徴、仏式とは何が違うのか詳しく解説します。
神道の法事の特徴
神道の法事は、故人を神として敬う点が特徴です。
神道法事は、「霊祭」と呼ばれ、故人の霊に感謝し、家族の繁栄や平安を祈るために行われます。
そのため、故人は守護神として祀られ、家族を見守る存在になります。
仏式との違い
仏式の法事は、故人の供養や成仏を願うために行われ、読経や焼香が中心となります。
一方、神道の法事では、神主が祝詩(のりと)を読み上げ、参列者が自分の心を託した玉串を神に捧げる「玉串奉奠(たまぐしほうてん)」を行います。
また仏式では、「法要」と呼ばれる儀式が、神道では、「霊祭」や「式年祭」と呼ばれます。
このように、儀式の内容や呼び方にも違いがあります。
神式法事の準備
神道の法事をスムーズに進めるには、事前の準備が欠かせません。
以下では、必要なものの一覧や、神主への依頼方法について詳しく解説します。
必要なもの一覧と準備手順
神道の法事を行う際には、以下のものを準備します。
お供え物
お米、酒、野菜、果物が一般的です。地域や神社によって異なる場合があるため、事前に確認しましょう。
玉串料(御玉串料)
仏式の香典に相当するもので、金額の目安は5,000円~10,000円程度です。
表書きは、「御霊前」や「御玉串料」と記載します。
祭壇の設置
神棚や祭壇を用意し、白い布を敷きます。
祭壇にお供え物をきれいに並べて、故人の写真や位牌を置きます。
神主への依頼
地元の神社に連絡し、日程や場所を相談します。
祭祀料(お礼)の相場も確認しておきましょう。
神主への依頼方法
神道の法事を行う場合、神主への依頼は以下の手順で進めます。
1.神社への連絡
地元の神社に電話や訪問で連絡し、法事の希望日程や場所を伝えます。
2.日程の調整
神主の都合や神社の予定を踏まえ、適切な日程を決めます。
3.祭祀料の確認
神主へのお礼である祭祀料の金額を確認します。
相場は神社や地域によって異なるため、直接問い合わせることが重要です。
4.詳細の打ち合わせ
法事の進行や準備するものについて、神主と具体的に打合せを行います。
特に、お供え物や祭壇の設置方法など、細かな点も確認しておきましょう。
のし袋の選び方と書き方
神道の法事では、「御玉串料」をのし袋に包んで持参します。
これは仏式の香典に相当するもので、神道ならではのマナーがあります。
のし袋の選び方や表書きの書き方に注意し、失礼のない準備を心がけましょう。
のし袋の選び方
神道の法事に適したのし袋は、水引(封筒を飾る紐)が「白黒」または「双眼」であるものを選びます。
水引は「結び切り」のデザインが一般的で、一度限りの儀式であることを意味します。
また、シンプルで上品なデザインを選ぶと良いでしょう。
表書きの書き方
のし袋の表書きには「御霊前」または「御玉串料」と記載します。
「御霊前」は仏式でも神道でも使える汎用的な書き方ですが、「御玉串料」と書くことで神道らしい格式が加わります。
表書きは毛筆や筆ペンを使い、楷書で丁寧に書きましょう。
中袋の金額記載
のし袋に中袋がある場合は、以下の手順で記載します。
1.中袋の表面に金額を漢数字で記載します。
(例:「壱万円」「参千円」)
2.裏面には、自分の住所と名前を書きます。
これにより、渡す相手が誰からの御玉串料なのか分かりやすくなります。
注意点
包み方の注意点として、中袋に現金を入れてのし袋で包む場合は、裏面が下になるように折り返して準備します。
これは、受け取った際に正しい向きで開けられるようにするための配慮です。
のし袋が汚れていたり、折れ曲がっていると失礼にあたるため、綺麗なものを準備しましょう。
また、地域によって水引や表書きの慣習が異なることもあるので、事前に確認すると安心です。
神道の法事の流れ
神道の法事では、神主による儀式や参列者の玉串奉奠が行われます。
仏式とは違う流れとなるため、事前に基本的な進行を理解しておくと安心です。
ここでは、一般的な霊祭の進行例と霊祭や式年祭の日程について詳しく説明します。
霊祭の進め方
神道の法事では、神主が主導して進行します。以下は一般的な霊祭の流れです。
1.開式の辞
神主が法事の始まりを告げます。
参列者は着席し、静かに儀式の開始を待ちます。
2.祝詞奏上(のりとそうじょう)
神主が故人の霊に向けて祝詞を読み上げます。
この祝詞には、故人への感謝や家族の繁栄を祈る言葉が込められています。
3.玉串奉奠(たまぐしほうてん)
参列者が神前に玉串を奉納する儀式です。
玉串は、根本は自分側、葉先が神前を向くように持ちます。
神に捧げた後に、二礼二拍手一礼の作法で敬意を示します。拍手は「しのび手」と呼ばれ、音を立てずに行うのが特徴です。
4.閉式の辞
神主が儀式の終了を告げます。参列者は再度礼をして退席します。
霊祭や式年祭の日程とタイミング
神道の法事には、霊祭や式年祭と呼ばれる独自のタイミングがあります。以下は主な日程になります。
初霊祭(しょれいさい)
故人が亡くなってから50日以内に行います。
この期間は故人の霊が安定し、家族の守護神となるための準備期間とされています。
一年祭
故人が亡くなった翌年に行う霊祭です。
多くの場合、家族や親族が集まり、正式な儀式が行われます。
式年祭(しきねんさい)
三年祭、五年祭、十年祭など、年数に応じた節目に行う霊祭です。
式年祭は、故人を神棚や家の祭壇に、改めて祀りなおす重要な機会です。
その他の霊祭
地域や家庭によって異なる場合がありますが、五十日祭や百日祭なども行われることがあります。
参列者のマナーと注意点
神道の法事に参列する際は、独自の作法やマナーを守ることが大切です。服装、持ち物、拝礼の作法、注意点について詳しく解説します。
マナーや注意点を守ることで、神道の法事において故人や遺族に対する礼儀を尽くすことができます。事前に確認し、適切な対応を心がけましょう。
服装のマナー
神道の法事では、仏式と同様に喪服を着用します。
男性は黒のスーツに白いシャツ、黒のネクタイを着用し、女性は黒のワンピースやスーツを選びます。
アクセサリーは控えめにし、派手な装飾は避けましょう。
靴やバッグも黒で統一し、全体的に落ち着いた印象を心がけます。
持ち物と御玉串料の準備
参列時には、御玉串料を用意します。
これは仏式の香典に相当し、のし袋に包んで持参します。
のし袋は黒白または双銀の結び切りのものを選び、表書きには「御霊前」や「御玉串料」と書きます。
金額は故人との関係性や地域の慣習によりますが、一般的には5,000円から1万円程度が目安です。
拝礼の作法
神道の法事では、拝礼の際に「二拝二拍手一拝」の作法を行います。
ただし、法事の場合は音を立てない「忍び手」で拍手を行うことが一般的です。
1.深く二度お辞儀をする(二拝)
2.手を胸の高さで合わせ、音を立てずに二度拍手をする(二拍手)
3.再度深く一度お辞儀をする(一拝)
その他の注意点
数珠の使用
神道では数珠を使用しません。
香典返し
仏式と同様に、後日、香典返しが送られてくることがあります。
会食(直会)
法事の後に会食が行われる場合があります。参加する際は、節度ある態度で臨みましょう。
よくある質問
御玉串料の相場はいくらですか?
御玉串料の金額は、故人との関係性や地域の慣習によりますが、一般的には5,000円から1万円程度が目安です。
親族や親しい関係の場合は、もう少し高額になることもあります。
のし袋の表書きには「御霊前」や「御玉串料」と記載し、黒白または双銀の結び切りの水引を選びます。
神道の法事ではお供え物は何を用意すればよいですか?
神道の法事では、お供え物としてお米、酒、野菜、果物などが一般的です。
地域や神社によって異なる場合があるため、事前に確認しましょう。
また、線香や仏花は神道では使いませんので、お供え物を持参する際は注意が必要です。
神道の法事は何年ごとに行うのですか?
神道の法事(霊祭・式年祭)は、以下の年数で行われることが一般的です。
初霊祭:亡くなって50日以内に行います。
一年祭:亡くなった翌年に実施します。
式年祭:三年祭、五年祭、十年祭など、節目の年に行います。
その他:地域や家族の慣習により、特別な日程で行う場合もあります。
神道では、これらの節目を通して故人を神として祀り、家族の平安を祈ります。
まとめ
今回の記事では
・法事の基本的な流れ
・法事の準備
・参列者のマナー
・日程や式年祭
などを詳しく解説してきました。
仏式との違いを理解し、具体的な手順やマナーを把握することで、神道のしきたりに沿った法事をスムーズに進めることができます。
正しい知識を持つことで、不安を払拭して、日本の伝統文化を大切にしながら法事を行いましょう。
葬儀の人材派遣と集客支援の最大手、株式会社ディライトの代表取締役。20歳で葬儀の人材派遣スタッフとして働き始め、独立。以降約20年間、葬儀、お墓業界の「人の困った」と「集客の困った」を解消し続けている。
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この記事の著者・監修者
株式会社ディライト株式会社ディライトは、葬儀業界とお墓業界の「集客の困った」と「人の困った」を解決する会社です。
この記事の編集者
お墓の口コミ編集部
竹田 勇飛
東京都出身。計400社以上の墓石、葬儀会社と繋がりを持ち、お墓ディレクター2級を有している。
消費者に有益な情報を届けたいという想いから、現在「お墓の口コミ」を運営している。