墓石の値段を決める6つの要因とは?石材店の見積書の注意点も解説
最新編集日:2025年10年08日
墓石(ぼせき)の購入を考える時、「いったい、いくらかかるの?」と不安になりますよね。
お墓は何度も買うものではないため、値段の相場が分からず悩む方も多いでしょう。
この記事では、お墓のプロの視点から「墓石の値段」に関する全体像をわかりやすく解説します。
〈この記事を読んでわかること〉
● 墓石の値段の決まり方
● 墓石の購入から契約までの流れ
● 優良石材店(※)の見積書の見分け方
● 墓石の値段を抑える具体的な方法
この記事が、あなたが納得できるお墓を選ぶためのお役に立てたら幸いです。
※ 石材店:墓石の製造・販売・施工を行う専門業者。お墓づくりに関わる全般的なサービスを提供している。
墓石はどこで買う?|指定石材店制度・石材店の探し方
墓石の契約までの流れ|見積依頼~比較検討~契約(購入)
墓石の相場はいくら?
墓石代(墓石本体 + 工事)の相場は100万円~300万円です。
「全国優良石材店の会(全優石)」が2025年に実施した調査(回答数:818名) によると、墓石の平均購入価格は169.5万円となっています。
また、最も多い購入価格帯は150万円~200万円(全体の20.3%)という調査結果が出ています。
下表のとおり、半数以上の方が、120万円~300万円で墓石を購入していることから、墓石代の相場は、100万円~300万円であるといえるでしょう。
■ 全優石の調査結果
安価な墓石は50万円程度ですが、高級な墓石では1,000万円を超えるケースもあります。墓石の価格差が生まれる理由については、次章でくわしく解説します。
墓石の値段は何によって変わる?
墓石の値段は以下の6つの要因によって大きく変わります。
① 石材の種類
② 石材の品質
③ 区画の広さ
④ 墓石のデザイン(形)
⑤ 付属品
⑥ お墓のある場所
① 石材の種類(石種)
墓石の値段は石材(※1)の種類(石種)によって大きく変わります。
たとえば同じ大きさのお墓の場合、中国産の「G623」という石種なら、墓石代は50万円程度で済みます。これに対して、香川県産の「庵治石(あじいし)」を使用した墓石は300万円を越えることもあります。「庵治石(あじいし)」は「花崗岩のダイヤモンド」とも呼ばれる最高級品です。
近年、日本の石の採掘量は減っており、国産の石材は希少価値が高く、高価になる傾向があります。一方で、中国産(G623、G688など)は、供給量が安定しており、比較的安価です。
安価だからといって、中国産石材の品質が劣悪というわけではなく、多くの日本のお墓で使われています(国内流通量の 6〜7割が「G623」と推定されている)。
費用を抑えたい場合は、中国産の石材を選ぶのがおすすめです。もし石材店(※2)からの見積もりが高いと感じたときは、「もう少し安くて、これと似た風合いの石はありませんか?」と相談してみるのもよいでしょう。
※1 石材:土木・建築用、墓石や石碑、美術・工芸品などの材料として利用される岩石のこと
※2 石材店:墓石の製造・販売・施工を行う専門業者。お墓づくりに関わる全般的なサービスを提供している。
② 石材の品質
高品質な石材を使った墓石は価格が高くなります。石の品質を客観的に示す指標には「吸水率」「見かけ比重」「圧縮強度」の3つがあります。
簡単に言うと、それぞれ
「どれだけ水を吸いにくいか」「どれだけ中身が詰まっているか」「どれだけ頑丈か」ということです。
専門的なことですが、こういった品質基準があることを知っておくと、石材店に相談する際に役立ちます。信頼できる石材店であれば、これらの品質についてもわかりやすく説明してくれるでしょう。
③ 区画の広さ(石材の使用量)
お墓を建てる区画の広さも、価格に影響する大きなポイントです。区画が広くなると、以下の2つの理由で費用は高くなります。
1. お墓本体が大きくなる
一般的に、区画の広さに比例して建てるお墓も大きくなります。その分、石材の使用量も増えるため費用は高くなります。
2. 外柵(がいさく)が大きくなる
外柵とは区画の境界を示す石の枠のことです。区画が広いほど、外柵に必要な石材の量が増えて価格に反映されます。
④ 墓石のデザイン(形状)
お墓のデザイン(形状)も墓石の価格を左右します。デザインによって「石材の使用量」と「加工費」が変わってくるためです。
和型墓石
縦に長い伝統的なお墓です。高さがある分、後述する洋型墓石よりも石の使用量が多くなる傾向があり、価格は高めになります 。蓮華台(れんげだい)やスリン、猫足(ねこあし)を設置すると、石材の使用量はさらに増えます。
洋型墓石
背が低く横に広い、公園墓地などでよく見られるお墓です。和型に比べて石の使用量が少なく済むため、価格を抑えやすいのが特徴です 。
デザイン墓石
故人の趣味や人柄を反映した、自由なデザインのお墓です。多くはオーダーメイドの特注品となるため、複雑な加工が必要になり加工費が高額になります。費用を抑えたい場合は、量産されているスタンダードな形を選ぶのがよいでしょう。
⑤ 付属品
お墓本体とは別に、オプションとして設置する付属品によっても費用は変わります。付属品にはさまざまな種類がありますが、特に石材を多く使い、価格に大きく影響するのが「墓誌」と「灯籠」です。
墓誌(ぼし)
戒名や亡くなった年月日などを刻むための石の板です。墓誌を設置する場合、5万円~25万円程度の追加費用がかかります 。
灯籠(とうろう)
お墓の脇に置かれる石造りの灯篭です。一対(2つ)で置くのが一般的で、4万円~20万円程度の費用が加算されます 。
このほかにも、卒塔婆を立てるための「卒塔婆立て」などもありますが、特に価格への影響が大きいのは、石を多く使う墓誌と灯籠と言えるでしょう。
⑥ お墓のある場所(工事のしやすさ)
見落としがちですが、お墓を建てる場所も価格に影響します。これは、場所によって工事のしやすさが異なり、「工事費」が変動するためです。
たとえば、山の上の霊園や、墓地の通路が狭くてトラックやクレーンが入れない場所では、職人が手作業で石を運ぶ必要があります。その分、人件費がかさみ、工事費が高くなってしまうのです 。
一方で、平地で道幅も広く、作業がしやすい墓地であれば、追加の工事費がかからず、費用を抑えることができます。また、地盤が弱い場所に建てる場合は、強固な基礎工事が必要になるため、その分の費用が上乗せされることもあります。
墓石はどこで買う?|指定石材店制度・石材店の探し方
「墓石は一体どこで買うのか?」と疑問に思う方もおられるでしょう。
結論から言うと、墓石は「石材店」から購入し、石材店が建立(施工)します。石材店とは、墓石の製造・販売から墓石や区画の工事までを行う専門業者のことです。
石材店を選ぶ際は「指定石材店制度」について理解しておくとよいでしょう。ここでは「指定石材店制度」と「石材店の探し方」についてわかりやすく解説します。
指定石材店制度とは
多くの民営霊園や寺院墓地は「指定石材店制度」を採用しています。これは「その霊園があらかじめ指定した石材店からしか墓石を購入できない(建立できない)」という制度です。
霊園側は「景観の統一を図りたい」「墓石の施工品質を一定に保ちたい」といった理由で、指定石材店制度を設けています。
指定石材店が1社のみの霊園もあれば、複数の石材店を指定している霊園もあります。見学に行った際に、「複数の石材店から見積もりを取れますか?」と質問してみるとよいでしょう。
なお、公営霊園の多くは指定石材店制度を採用していないため、自由に石材店を選んで墓石を購入・建立できます。
石材店の探し方
石材店の探し方には、2つのパターンがあります。
パターン1:
先に候補となる霊園を探し、その霊園から指定石材店を紹介してもらうパターンです。「指定石材店は1社だけか、複数あるか」を最初にたずねてみましょう。
パターン2:
石材店を先に探す方法です。友人知人から「お墓を建てて満足した石材店」を教えてもらったり、インターネットやYouTubeで信頼できそうな石材店を探し、その石材店から霊園を紹介してもらうパターンです。
墓石の契約までの流れ|見積依頼~比較検討~契約(購入)
石材店への見積依頼から契約までの流れは以下のとおりです。
ステップ1 見積もり依頼:
希望するお墓のイメージ(石の種類、形、大きさなど)を石材店に伝え、詳細な見積書を作成してもらいます。
ステップ2 比較検討:
複数の石材店から見積もりを取れる場合は、それぞれの内容を比較検討します。金額だけでなく、提案内容、担当者の対応も含めて判断しましょう。
ステップ3 契約(購入):
墓石の見積もり内容に完全に納得できたら、石材店と墓石の契約を結びます。それと同時に、霊園との永代使用契約も進めます。
墓石の見積書のチェックポイント
ここでは、石材店から受け取った見積書のチェックすべき項目について解説します。
石材や基礎工事の専門知識がなくても心配する必要はありません。見積書に「何が」「どこまで」具体的に書かれているかを確認することで、優良石材店かどうかをある程度判断できます。
優良石材店の見積書に記載されている項目
良心的な石材店の見積書には、下表の項目が全て行ごとに記載されています。「数量 × 単価 = 小計」の形になっているか?追加料金の価格表が併せて添付されているか?のチェックも重要です。
上記の項目が一つでも抜けていたり、「一式」のように内容が不透明な場合や、詳細な再見積もりの提出を拒む石材店は要注意といえるでしょう。
注意すべき見積書と石材店の対応
石材店が以下のような見積書を提示したり、対応をしたりした場合は、その石材店は良心的とはいえません。他の石材店からの購入を検討しましょう。
1. 内訳がなく「墓石工事一式 〇〇円」としか書かれていない
何にいくらかかるのかを意図的に不透明にしています。このような石材店とは取引すべきではありません。
2. 石の名前を「御影石」などと曖昧にしか伝えない
石の種類と産地は、価格を決める最も重要な要素です。それを具体的に明記しないのは、良心的な石材店の対応ではありません。
3.「今日中に契約すれば〇割引」など、その場での契約を急がせる
高額な契約を焦らせるのは、顧客の利益を考えていない証拠です。良心的な石材店は、顧客がじっくり考え、納得するまで待ってくれます。
霊園を契約する前に墓石の内容と金額を詰める
ここで霊園と契約するタイミングについて解説します。
結論、先に石材店との間で墓石の内容と金額(見積もり)を詰めてから、その後に霊園と契約しましょう。
理由は、指定石材店が1社のみだった場合、墓石の内容も金額もまだわかっていないのに、その石材店から墓石を購入することが確定してしまうからです。
複数の石材店から見積もりを取れる場合でも、全社の見積もりに納得できないということもあり得るでしょう。
最終的に「どの石材店からも墓石を購入しない」「霊園との契約もキャンセルしたい」という決断に至るかもしれません。この場合、霊園の規約次第ですが、初期費用が全額返金されなかったり、一部しか返金されない場合もあります(返金割合・期限は霊園ごとに異なるため、書面の規約で必ず確認してください)。
気に入った霊園が見つかったとしても、焦って先に霊園を契約して初期費用を払い込まないよう注意しましょう。
結論(安全な進め方):
● まずはその霊園が指定する石材店から墓石の見積もりを取る
● 内容と金額に完全に納得できてから、霊園の契約に進む
墓石の値段を抑える方法
墓石の値段は、いくつかの工夫で安くできます。その具体的な方法を解説します。
複数の石材店から相見積もりを取る
墓石の値段を適正に判断するためには、複数の石材店から見積もりを取りましょう(「相見積もり」を取る)。検討中の霊園に複数の指定石材店がある場合は、同一条件で2〜3社から見積もりを取りましょう。
第一候補の霊園の指定石材店が1社しかなくても、その1社とだけ話を進める必要はありません。並行して、第二・第三候補の霊園を探し、それぞれの指定石材店から同一条件で見積もりを取れば、第一候補の霊園の単独指定石材店の価格が適正かどうか判断できます。
外国産の石材を選ぶ
こだわりがなければ、外国産の石材を選ぶと費用を大きく抑えることができます。国産の高級石材に比べ、数十万円単位で価格が変わることも珍しくありません。石材店にサンプルを見せてもらい、耐久性ついても質問し、納得した上で決めましょう。
墓石のデザインや装飾をシンプルにする
オーダーメイドのデザイン墓よりも、規格化されたシンプルな洋型墓石を選ぶ方が、墓石の加工費が安く済みます。蓮の花の彫刻(蓮華台)やスリンなどの装飾をなくすことも、費用を抑えるためのポイントです。
付属品を最小限に減らす
墓誌や灯篭などの付属品を、必要最小限に絞ることで費用を抑えることができます。すべてを一度に揃える必要はなく、後からでも設置できる場合もあるため、石材店に確認してみましょう。
アウトレット墓石(展示品や在庫品)を選ぶ
展示品や在庫品を「アウトレット墓石」として安く販売している石材店もあります。完成品、または半完成品のため、通常の墓石よりも価格が安く、納期が早いのが特徴です。
もし指定石材店にアウトレット墓石の在庫があれば、以下の3点を確認した上で、検討してみるのもよいでしょう。
確認事項:
1. 墓石の寸法や石の種類が、霊園の規則に合っているか
2. 見積もりの内訳:アウトレット品でも内訳がきちんと明記されているか
3. 墓石の状態と保証:展示中の傷や補修の有無、保証が通常品と同じ条件か
墓石以外のお墓の選択肢
近年では、ライフスタイルや価値観の変化に合わせて、伝統的な石のお墓以外の供養方法を選ぶ方が増えています。ここでは、代表的な墓石以外の供養方法である「納骨堂」「樹木葬」「合葬墓」について、それぞれの特徴について解説します。
納骨堂|屋内で天候を気にせずお参り
納骨堂(のうこつどう)とは、故人の遺骨を納めるための屋内施設のことです。
建物の中にあるため、天候に左右されず快適にお参りできるのが大きな特徴です。
多くは駅の近くなど交通の便のよい場所にあり、お墓掃除などの管理も不要なため、近年人気が高まっています。
納骨堂には、ロッカーのように個別のスペースに遺骨を安置する「ロッカー式」や、豪華な仏壇が並ぶ「仏壇式」、ICカードをかざすと自動で遺骨が運ばれてくる「自動搬送式」など、いくつかの種類があります。
当サイトが実施したアンケートでは、納骨堂の中でも「ロッカー式」を選んだ方が最も多く、全体の32.5%を占めていました。また、納骨堂の購入金額で最も多かった価格帯は「30万円~50万円未満」で、全体の20.2%でした。墓石の平均購入価格が約170万円であることを考えると、費用を大きく抑えられる選択肢といえるでしょう。
樹木葬|自然の中で安らかに眠る
樹木葬(じゅもくそう)は、墓石の代わりに樹木を墓標とする供養方法です。桜やハナミズキといったシンボルツリーの周りに遺骨を埋葬する方式が一般的で、「自然に還りたい」と考える方に選ばれています。
樹木葬の多くは、霊園が永代にわたって遺骨を管理・供養してくれる「永代供養(えいたいくよう)」が付いているため、承継者(お墓の後継ぎ)がいない方でも安心して利用できます。
費用も、一般墓に比べて安価なことが多く、当サイトが実施した調査では、「初期費用は60万円以下だった」と回答された方が71%でした(10万円未満:12%、10~30万円:27%、30~60万円:32%)。
合葬墓|費用を抑え永代にわたる供養を
合葬墓(がっそうぼ)は、血縁関係のない多くの方々の遺骨を、ひとつの大きなお墓に一緒に埋葬する方法です。「合祀墓(ごうしぼ)」や「共同墓(きょうどうぼ)」とも呼ばれます。
他の人と一緒の埋葬となるため、プライベートなお墓ではありませんが、その分費用を大幅に抑えることができます。10万円程度から利用できる場合が多く、最も経済的な負担が少ない供養方法といえるでしょう。
合葬墓も寺院や霊園が永代にわたって供養と管理を行うため、継承者の心配がありません。お墓にお金をかけるよりも、生前のうちにお金を使いたい、あるいは子どもたちに残したいと考える方に適した選択肢です。
まとめ
この記事では、墓石の値段の相場と、価格が決まる仕組みについて解説してきました。また、優良な石材店の見つけ方や、費用を抑えるための具体的な方法についてもご紹介しました。
特に重要なのは、以下の3点です。
1. 墓石の価格は、「石の産地・品質」「区画の広さ」「デザイン」など複数の要因で決まる
2. 霊園の契約は、必ず「石材店の見積もり」に納得してから進める
3. 見積書は「内訳」の具体性を見ることで、その石材店が良心的かどうかの判断材料になる
墓石の値段に関する、さまざまな疑問や不安を解消できたのではないでしょうか。 この記事が、あなたが納得のいく、素敵な墓石と出会うためのお役に立てたら幸いです。
Q.民営霊園・寺院墓地でも、石材店を自分で選べますか?
A.自治体が運営する多くの公営霊園では、石材店を自由に選べます。一方で、多くの民営霊園や寺院墓地では「指定石材店制度」が採用されており、霊園が指定した石材店に依頼する必要があるため、自分で選ぶことはできません 。
Q.何社の見積を比べればよいですか?
A.もし霊園から複数の石材店を紹介された場合や、公営霊園でお墓を建てる場合は、2社~3社から見積もりを取るのがおすすめです 。複数の見積もりを比較することで、お墓の適正な価格を知ることができ、より納得のいく契約に繋がりやすくなります 。
Q.迷ったらどんな墓石にすると安心ですか?
A.もし石材選びに迷ったら、中くらいの価格帯で、色が濃いめの御影石を基準に検討するとよいでしょう 。色が濃い石は彫刻した文字が読みやすく、また、極端に高価・安価な石を避けることで、品質と価格のバランスが取れた選択がしやすくなります 。
Q.追加の文字入れの費用はどのぐらいですか?
A.戒名などを追加で彫刻する「追加彫刻」は、1名あたり3万円~5万円程度が相場です。正確な金額は、必ず石材店から見積もりを取って確認しましょう。
Q.墓石の費用はローンで分割払いできますか?
A.はい、可能です。多くの石材店では、提携している信販会社の「建墓ローン」を扱っています(「お墓ローン」「メモリアルローン」という場合もある)。ただし、通常のローンと同様に審査があり、金利も発生しますので、利用する際は契約内容をよく確認しましょう。
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