そもそも真言とは?

真言とはサンスクリット語でマントラとも呼ばれています。
意味合いとして「真実の言葉」や「秘密の言葉」のような意味があります。
これらは仏や菩薩の誓いや教えを含めた「呪術」のようなものの一つとして語り継がれています。
以下ではそのような真言がどのようにして生まれたのか、その背景や歴史、効果について解説します。
真言が生まれた背景
真言の歴史は古く、仏教ができる遥か昔、古代インド(ヴェーダ時代)に除厄や招福のために唱えられたとされています。
昔から言葉の力「言霊」には大きな力が宿り、人々を助ける力があるとされていたので、多くの人はこの力にすがる気持ちで日々祈りを捧げていました。
のちに仏教が生まれた際に、この言葉の力は偉大な効果があるとされ、悟りを開く修行の一つとして取り入れられる事となりました。
その後、真言宗の空海がこの言霊の力を取り入れ、様々な宗派で唱えられる事となりました。
どのような効果が期待できる?
真言の効果は、唱える真言ごとで異なり
● 心身の浄化
● 悪い運気を避け、災いを防ぐ
● 病から身を守る、病を取り除く
現代では
● 家族の健康
● 出産や結婚
● 仕事での出世
など、多くの方が悩む事柄を解消すると言われています。
真言を唱えると、その声を自分の耳で聞き取り、脳で感じます。
このような音による波動は自身の心に響き、叶わない願いを叶えたり、問題点を解消すると言われています。
また、真言を唱える事は集中力上昇にも関係しており、心が安定し悩んでいた状態から脱する事にもつながるとされています。
しかし、厳密にはどれも根拠はないので、過信は禁物です。
一番大切な事は、仏の力を借りずに自分の力で解決する事が根本となっており、自身の潜在能力によって様々な困難に立ち向かう事ができる事が真理といえます。
真言は唱えていけないの?

「真言はむやみに唱えてはいけない、唱えてはいけないものがある。」
このような事を聞いたり拝見したりした経験はありませんか?
効果が強すぎるが故に思わぬ災いを起こすとも言われており、意味もなく唱えるのは良くないと言われています。
しかし、この点についても真言の効果と同じで根拠がありません。
仮にお寺の僧侶などに聞いてもそのような事は言われる事はないでしょう。
言霊には力があるとされており例えば誰かを不幸にしようと呪いを掛けたとすると、その呪いが返ってくると言われているのと同じで「好転反応」と呼ばれ、良い事もあれば反動で悪い事もあると言われています。
一概に唱えてはいけないとは言えませんが、特別言ったからといって何か不幸が訪れる訳ではありません。
そのため、気にせずに唱えても問題ありませんので、安心して唱えましょう。
【真言一覧】効果の違い

真言は様々な種類があり、仏によって成就する内容も異なります。
それぞれの効果を正しく理解する事で、自分の悩みに直結する真言も見つかると思います。
こちらでは大まかに分けて解説するので、一通り確認してみて下さい。
光明真言
光明真言は23文字の短い真言ですが、こちらを唱えるだけで全ての災いを取り除けると言われている強力な真言となります。
十三仏真言
十三仏とは三十三回忌まで、亡くなった故人を守る十三の仏を指し、それぞれ役割が異なります。
故人が亡くなってから極楽浄土へ成仏するまでの道案内のような存在ですが、真言では御利益や災いから守って頂けるありがたい言葉とされています。
《十三仏》
①不動明王
右手に持つ剣で悪い関係や行いから絶つと言われており、他には商売繁盛なども効果があると言われています。
➁釈迦如来
迷いをなくし、悟りを開くと言われています。つまり、自身の魂や心を強くします。
③文殊菩薩
右手の剣で諸戯(しょけ)を絶つと言われており、合格祈願などを成就させると言われています。
④虚空蔵菩薩
菩薩道をひらすら進む事で、頭が良くなり成績が上がったり、良いアイディアが浮かんだり更なる飛躍が期待できると言われています。
⑤大日如来
安定した毎日を送れるように、また願いを叶えてもらえるとされています。
⑥阿閃如来
無動如来とも呼ばれており、何事にも動じない強靭な肉体、つまり病気を治したり健康な毎日を送れると言われています。
⑦阿弥陀如来
亡くなった故人が極楽浄土で往生できるように祈ります。阿弥陀如来自体は現代に御利益をもたらす事はないと言われています。
⑧勢至如来
頭の宝冠から力を降り注ぐとされており、家内安全に御利益があると言われています。
⑨観音菩薩
願いに応じて姿を変えて守ると言われており、幸運や思わぬ大金を受け取る事があるとされています。
⑩薬師如来
左手の薬壺で様々な病気を治すとされており、特に目の病気や安全祈願などの御利益があります。
⑪弥勒菩薩
故人の煩悩を取り除き、極楽浄土の往生をするとされています。弥勒菩薩は現代では御利益がないと言われています。
⑫地蔵菩薩
子供を守る地蔵菩薩と言われており、安産祈願や子供を授かる事に御利益があるとされています。
⑬普腎菩薩
救いの手を差し伸べる仏として、女性などを守るとされています。
七観音
七観音とは、人々を守るためその場の状況に応じて変化する観音様を指します。
《七観音》
①千手観音
病気を治したり、運気が上がりお金持ちになったりと観音様の中でも、多くの御利益があるとされています。
➁十一面観音
10種類の現世での後利益と4種類の故人になってからの御利益を全て司る観音様です。
③聖観音
聖観音は仏の母とも呼ばれており、子宝や安産に御利益があるとされています。
④如意輪観音
煩悩を打ち砕き願いを叶えるとされており、延命や幸福などの御利益があると言われています。
⑤馬頭観音
頭上に馬の頭を乗せた観音様で、勝負事に効果があると言われているので、合格祈願などに御利益があるとされています。
⑥不空羂索観音
迷いに苦しむ民衆を救うとされ、あらゆる願いを叶えてくれると言われています。
⑦准胝観音
准提仏母とも呼ばれており、安産祈願や子宝、夫婦の関係を良好にするなど家庭に関する悩みに対して御利益があると言われています。
愛染明王
人々の苦悩から救うために誓願を伝えると言われていますが、一番有名なのは縁結びや良縁成就、人間関係を良くするなどに御利益があるとされています。
七福神
七福神は福徳をもたらす神様となり、十三仏同様それぞれ役割が異なります。
《七福神》
①恵比寿天
主に漁業において豊漁や事故予防、他には商売繁盛に御利益があるとされています。
➁大黒天
農業に精通されているとされており、豊穣や災害防止などに御利益があるとされています。
③毘沙門天
甲冑を身に着けており昔は戦闘の勝利に信仰があるとされていました。現代では金運や商売繁盛などに御利益があるとされています。
④弁財天
弁財天様は自身に秘められた様々な才能を開花させると言われており、仕事の昇進や他には勝負運の向上などにもお力を貸してくれると言われています。
⑤福禄寿
福禄寿様は福(子宝)禄(財産)寿(長寿)の3つを司るとされており、それぞれに対して御利益があると言われています。
⑥寿老人
七福神の中で、一番の長寿と言われており、その名の通り長寿に御利益があると言われています。
⑦布袋尊
いつも笑顔で大きな袋を持っていますが、この袋には運を呼び込むと言われています。金運や商売繁盛に御利益があるとされています。
【4つのポイント】正しい真言の唱え方

様々な御利益がある真言は普通に唱えるよりも、正しい唱え方をする事でより効果的に御利益を授かるとされています。
また、闇雲に何でも唱えるのではなく、自分にとって適切な真言を決めて唱える事も重要です。
こちらでは正しい真言の唱え方について解説しますので、今までの唱え方と相違点がないか確認してみて下さい。
①サンスクリットで唱える
真言は日本語で唱えるよりもサンスクリットで唱えた方がより効果が高いと言われています。別名「梵語」とも呼ばれています。
現代のインドでもサンスクリット語は言語にはなっておらず、独特の言語といえます。
このサンスクリットは独特のリズムで特に波動が強いとされていますが、日本人には発音が難しく簡単には取得できません。
そのため、1人で練習するよりもお寺の僧侶などに相談して正しい発音を訪ねてみるといいでしょう。
➁3回唱える
より効果を感じられるには真言を3回唱えると良いとされています。
ただ、これは真言ごとで適切な回数が異なり、3回の他に
● 7回
● 13回
● 21回
● 108回
● 1,080回
● 6の倍数
他にも諸説ありますが、このように真言によって様々です。
そのため唱える予定の真言の正しい回数を事前に調べておく必要があると同時に、特に1,080回は時間や労力も掛かり途中で何回数えたか分からなくなるので、もし唱える場合は他の人の力も必要な場合もあります。
③毎日かかさず唱える
真言は初日だけ唱えるのではなく、毎日同じ時間に唱えると更に効果が増すとされています。
同じタイミングを毎日刻む事で、規則正しい生活する事にもつながり、心の安定にもつながります。
最終的には自分と真言が一体化する事で、より仏に近づくとされています。
④合掌して唱える
真言を唱える際に注意する事は「三密」を守る事とされており、
● 身密(手印を結ぶ)
● 口密(真言を唱える)
● 意密(仏様を心に秘める)
この中の「身密」における手印は、種類が多く、真言によって様々です。
とても普通の人は全て覚える事が困難なので、手を合わせた一般的な合掌の体勢で唱えても問題ないと言われています。
頭の中で仏様を意識して、手を合わせて合掌した状態で、しっかり発声して真言を唱えましょう。
唱えてはいけないと言われる真言4つ

基本的には唱えてはいけない真言はありませんが、中には悪影響を与える恐れがあるとされている真言もあります。
根拠はありませんが、唱える事で運気が悪化する事もあり自分の欲ばかり追求すると、かえって良くない方向に向かう場合もあるので注意が必要です。
こちらでは特に力が強く、様々な影響を与える可能性がある真言について紹介します。
①光明真言
光名真言は唱えると全ての災いから解放されると言われる強力な真言の一つですが、強すぎるが故に好転反応によって、悪い方向にも傾くと言われています。
特に私利私欲にまみれた状態では特に運気を下げるとされています。
唱えると願いが叶ったという人も多い反面、唱え方を間違えると自分の願いとは逆の結果になる事もありますが、根拠もないので唱えても問題ありません。
➁不動明王真言
不動明王は悪い縁を断ち切ると言われていますが、良い縁も切れると言われています。
しかし、悪い縁は魔の縁とも言われており、その魔の縁だけを断ち切るとされているので心配はいりません。
場合によっては悪い縁も良い縁も切れてしまう事もあるかと思いますが、深く考えすぎないようにしましょう。
③九字マントラ
九字マントラは別名「九字切り」とも呼ばれ、手で刀を模した「手刀」を使い邪気を祓う真言です。
戦国時代の頃などは、武士が九字切りを行い精神を統一させたなどとも言われており、悪い事から身を守るために行われていると言われています。
やってはいけない理由として、元々武士や忍者が行っていた呪術の一つとされており、その力は強く、扱いを誤ると自分に返ってくるとされています。
しかし、こちらに関しても根拠がないため、やってはいけない訳ではありません。
要は気の持ちようですが、もし心配であれば不用意にやらないのが賢明かもしれません。
④天部の真言
真言の中でも「天部」に属する仏の真言を唱えると魔がさすと言われています。
如来・菩薩・明王の下「天部」には煩悩があると言われており、私たち人間と同じような欲があるとされています。
そのため、真言を唱えると魔がさして悪影響になると言われていますが、こちらも特別理由もないので、真言を唱えても問題ありません。
よくある質問
真言を唱えたら気分が悪くなった時
真言を唱えて体の調子が良くなるはずが逆に悪くなる事もあるかと思いますが、それは真言が原因ではなく、純粋に体調が優れないため起こる現象です。
毎日真言を唱える事で規則正しい生活を送る事につながるので、食生活なども見直す機会になるのではないでしょうか。
浄土真宗や日蓮宗は唱えてはいけない?
浄土真宗や日蓮宗と仏教では考え方が異なり、死後すぐに仏になる浄土真宗などは般若心経を読む必要がありません。
だからと言って真言を唱えてはいけないという事ではなく、真言は全ての人が平等に唱えても問題ありません。
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悪い影響を与える真言の唱え方は?
真言の唱え方を間違えるとかえって悪影響があると言われているものがありますが、厳密には問題ありません。
しかし、適当に唱えてもあまり効果がないとされているので、心を込めて正しい唱え方をしっかり理解しましょう。
真言が中々覚えられないけど、読みながらでは意味がない?
真言が覚えられずに唱える事ができないと感じている方もいますが、ノートやメモなどに書いた真言を読むだけでも効果があるとされています。
一番大切なのは、しっかり声に出して唱える事なので、意識して唱えましょう。
一般の人が真言を唱えても良いのでしょうか?
僧侶ではなく、一般の方が唱えても全く問題ありません。
積極的に読む事で更なる効果を実感できると言われているので、毎日欠かさず唱えましょう。
般若心経を唱えてはいけない理由は何ですか?
般若心経は独特の言い回しから、唱えると霊が出るなどと言われています。
しかし、そんな根拠もなく気持ちを安定させるお経なので、安心して唱えて下さい。
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般若心経の「ぎゃーてーぎゃーてー」はどういう意味ですか?
書籍や訳し方で諸説ありますが、簡単に説明すると
悟りの境地を目指して進み、悟りを得る事で心の迷いを振り払うという意味があります。
ノウマクサンマンダバザラダンカンとはどういう意味ですか?
こちらは不動明王の真言となっており、こちらを唱える事で悪い事柄を断ち切り、様々な困難や問題に対して前向きに進む事ができるとされています。
真言のソワカとはどういう意味ですか?
ソワカは真言の最後に唱えられ、夫婦円満やみんなが幸せに過ごせるような願いが込められた真言です。
まとめ

今回は唱えてはいけない真言や、正しい唱え方などを解説しました。
真言はその言葉自体に強力な力があるとされており、昔から多くの方から信仰されてきました。
中にはタブーとされているものもありますが、根拠がない事が多いので、特に気にせずに真言を唱えても問題はありません。
大切な事は仏様を敬う気持ちなので、日々のお参りなども含めて感謝をしっかり伝える事も忘れないようにしましょう。